読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

暗いところで待ち合わせ 乙一著 幻冬舎文庫 2002年

 12月10日から大晦日まで、三週間の出来事。
 ネタばれになってるかな、すみません;

 視力をなくし、独り静かに暮らす本間ミチル。彼女の家に、一人の男・大石アキヒロが逃げ込んだ。職場での人間関係に悩んでいたアキヒロは、嫌がらせの主要人物である松永トシオを駅から突き落した犯人として追われている。ミチルに気づかれないよう、息を潜めて居間の隅にうずくまるアキヒロ。人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。
 お互いがお互いの存在を気にしながら、やがて言葉を交わさないながらも二人の心が通い合う。黙ってアキヒロの食事の支度をするミチル、ミチルの危険を回避してやるアキヒロ。家の外に出ることを怖がっていたミチルは、彼女を気遣う友人・カズエと仲違いして家を飛び出そうとする。彼女の背中を押し、見守り、カズエの家へ辿り着けるよう手を貸したのはアキヒロだった。だが、そのままアキヒロはミチルの家からいなくなってしまう。
 クリスマスの夜、カズエたちとパーティの準備をするミチル。一人になった彼女の前にアキヒロが現れ、真実を語る。…

 面白かった! すごく読後感がいい、爽やか! 乙さんなのに!(←こらこら;)
 自分の殻に閉じこもって、これでいい、と思っていた二人が外へ目を向ける。思い切って一歩踏み出す後押しする役割を、お互いが果たす。
 アキヒロの「自分から孤立を選んだのだから仕方がない。それでも時々、心臓がつぶれそうな気持になる」ってのはぐいぐい来たなぁ。
 ミステリとしてもやられました。そっちで読ませる作品じゃない、と思い込んでたこともあって、真相が明かされる辺りで「ここに伏線があったとは!」「もっと注意深く読んどけばよかった!」(笑)。
 相変わらずあとがきも独特、乙さんサービス精神満点ですね。本当、いいお話でした。