読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

図書館革命 有川浩著 メディアワークス 2007年

 図書館シリーズ第4弾、最終巻。
 ネタばれあります、すみません;;

 正化34年1月、福井県敦賀原子力発電所がテロ組織に襲撃された。謀略アクション小説『原発危機』がテロ内容とあまりに酷似していたことから、作者・当麻蔵人がメディア良化委員会に狙われる。テロリストの参考文献になるような作品を書く人物を放置しておけないとの主張に、出版社は当麻蔵人の保護を図書館側に申し入れた。かくしてデート途中の堂上篤と笠原郁(二人は「デートではない」と激しく否定)は呼び戻され、当麻蔵人の警護に当たることになる。
 当初は変装させた当麻を図書基地の独身寮に匿っていたものの、『未来企画』の一部が先走って当麻の居場所を良化委員会へ漏洩し、当麻は襲撃を受ける。それを未然に防ぎ、実行犯を捕まえたことから、返って『未来企画』トップ手塚慧との取引材料ができた。窓口は柴崎。キスを担保に手塚光から借りた携帯電話で、『未来企画』が法務省の検閲アドバイザーとして、中央省庁内に入り込むことを提案、手塚慧の背中を推す。
 当麻の次の隠れ家は、稲嶺司令改め顧問の自宅。平穏だったのも数日、やがて良化委員会の手が伸びる。稲嶺を囮に堂上と郁で何とか当麻を図書基地まで無事連れて来れたが、移送に使ったヘリは大破。当麻の潜伏場所が漏れたのは、日和った手塚慧に失望した江東図書館長による密告だった。
 玄田も復帰しての作戦会議、玄田は折口にテレビ局と手を組めないか、と言い始める。メディア良化委員会を批判するたび放送禁止処置をくらう有様に、漸く世間一般の人々がことの重大さを認識し始める。手塚慧のTVへの露出も手伝って、当麻が良化委員会に起こした訴訟に注目が集まっていく中、出た判決は「期限付きでの執筆制限」。期限が延ばされていくことは目に見えていて、到底承知できるものではない。郁たちは知恵を出し合い、当麻の亡命を決意する。
 台風が接近する中、大使館に向かう堂上班と当麻。だが、その情報も漏れていたらしく、良化委員会の妨害を受ける。途中、堂上は太股を撃たれ脱落。郁は当麻を連れてレンタカーで大阪へ向かう。
 携帯は雨に濡れ壊れてしまった。公衆電話は盗聴されるため使えない。図書隊に連絡が取れないまま、一人当麻を援護する郁。大阪に何とか到着し、二人は大使館に向かう。当麻の亡命は成功するのか。…

 うわぁ、読み始めからにやにや笑いが止まらない(笑)。デート(本人たちは激しく否定)に着ていく服に悩む郁、それをからかう堂上。柴崎と手塚にしろ、読んでるこっちまで照れ臭いよ、全く(笑)。
 最終巻らしく1エピソードで締めましたね。今回、後半の舞台は大阪でした。馴染みの場所がわさわさ出て来て何か嬉しい(笑)。当麻先生の変装(?)シーンでは思わず「阪神百貨店選ぶから…」とか呟いてしまいましたよ。大丸や阪急ならこんなことにはならないのに。…いや、実際阪神百貨店でもこんなことにはならないと思いますが、あそこには「…もしかしたら」と思わせる何かがあるから(笑)。実際私、売り場のおばちゃんに、「それサイズあわへんからやめとき!」と言われたことはあります。
 メディア良化委員会についてはとうとう書かれませんでした。確かに書いたら4巻では済まなかったとは思うんですが、でも書いて欲しかったなぁ。「あえて書きませんでした」と言う作者のあとがきに、「…考えてなかったんじゃないでしょうね」と多少意地悪く思ってしまったり。メディア良化法が成立した時の闇の利権って、醜聞を嫌がる代議士や官僚がいるのは解るんですが、それに命を掛けさせられる末端の一兵卒の気持ちが解らないんだよなぁ。
 「おひめさまはおうじさまとけっこんして、すえながくしあわせにくらしました」のラストも、何かちょっと違うような…。あれ、独り者の僻み入ってる?(笑)。このどたばたした日常は、まだ続いて行くのです、でも少しずつ良くなって行ってます。…の方が良くないかなぁ。
 いや、でも面白かったです。一気に読んじゃったもんなぁ、楽しかった。アニメも見る気満々だし(笑)。