読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

別冊図書館戦争Ⅰ 有川浩著 アスキー・メディアワークス 2008年

 『図書館戦争』シリーズ番外編。

一、「明日はときどき血の雨が降るでしょう」
 基地近くの指定病院に転院して来た堂上。精一杯おしゃれして毎日お見舞いに行き、慣れないリンゴの皮むきまでする郁。その姿は図書館隊の面々のからかいの的。
 ようやく堂上が復帰して来たある日、とある専門書のバーコードがゴミ箱に捨てられていたのが発見された。図書館から蔵書を盗んでいる奴がいるらしい。郁と手塚が私服で監視につく中、一人の青年が怪しい行動をとる。…
   返り血浴びてイイ笑顔、っていいなぁ(笑)。
   小牧の家の写本を欲しがるのと、ただ単に高いだけの研究書を盗むのとはちょっと違う気もしたの
   ですが…。いや、勿論どちらもいけないことです。

二、「一番欲しいものは何ですか?」
 堂上が復帰してからデートの時間が減っている。大っぴらに言えない悩みを胸に新年を迎えた郁。一人寮の部屋に居残る郁に、堂上から「実家に遊びに来い」と電話が入る。醜態をさらしながらも堂上の両親やかなりやんちゃな妹にも好印象。
 正月明け、図書館に一日中居座る酔っ払いが現れた。

三、「触りたい・触られたい二月」
 近づくバレンタインデー、郁は手作りチョコに励んでいる。堂上との関係もそれなりに進むかと思いきや、いざと言うと怖くなるし、そんな郁を見て堂上も手を出しあぐねている状態。誤解が誤解を生んで二人の仲がぎくしゃくする中、過激派によって図書館に催涙ガスが投げ込まれる。聴覚障害の子供が一人取り残されていると聞き、郁は防護服を待たずに館内に飛び込み、その後を堂上が追う。…
   恋愛の進捗状況がここまで周りに筒抜け、って嫌だなぁ。
   「あんた、結婚するまで処女でいたいって倫理観の持ち主なのか?」「そういうのは持ち合わせて
   ない。でも、そういう女を遅れてると軽蔑する気もないわよ」――
   ―氷室冴子さんの作品『恋する女たち』の中の一節です。何となく読んでて思い出しました。
   どの価値観も否定しない書き方に、読者への配慮を感じました。
   …でも、この作品では、この価値観軽蔑してるかなぁ。まぁお互いそうなりたいんだからいいんで
   すけどね(苦笑;)。
 
四、「こらえる声」
 第二図書館に刃物を振り回す暴漢が現れた。郁が囮になって取り押さえ一件落着した矢先、第一図書館では子供の行方不明騒ぎが起きる。悪ガキの秘密基地ごっこかと思いきや、裏には子供の切羽詰まった事情があった。…
   贅肉の洗脳、って表現いいなぁ(笑)。
   郁に逃げかけられたと思った堂上に同情。郁の説明口調もいかにも上官に対するそれで、笑って
   しまいました。いや、そんな時にそんなうっかり、なかなかしないと思うけどね、バンザイする郁
   かわいいなぁ(笑)。
 
五、「シアワセになりましょう」
 周囲の人たちの協力で何とか昇進試験に受かった郁。ご褒美に堂上と二人で部屋を借りたい、との郁の提案を堂上は迷わず却下、郁を拗ねさせてしまう。そんな折、作家木島ジンの作品が良化委員に狙われた。違反語を使わず罵詈雑言や差別表現を書き連ねてみせる手腕で、今中高生に大人気。だが、図書館では何者かの密告もあって無事保護してみせる。…
   最後に言葉狩り問題を持って来ましたね。木島ジン、Ⅱでまた決着つくんでしょうか。
   「駄目だ、今「カワイイ女度」を競ったら確実にあたしは手塚に負ける!」に爆笑。いや、何故
   手塚を前にそんなことを思いつく!?(笑)。

 私はあとがきを先に読む癖があるのですが、今回も読んでちょっと首を傾げました。
 …有川さん、番外編書くの嫌だったんですか…?
 まぁ角川だし、アニメ化にあわせて無理矢理依頼したんでしょうけど、それここで言っちゃうのはどうかとちょっと思ったり。読者は楽しみにしてましたよ。
 読み始めからにやにや笑いがおさまらない。電車の中でどうしようかと思いました。堂上教官の豹変っぷりはどうでしょう。これもツンデレ?(笑)。もう勝手にしてくれ(笑)。
 重い問題もちらつかせつつ、でもどの問題も簡単に片付くものではなく。何事も完璧な柴崎が落ち込んだりしてます。柴崎の方が甘え下手だよなぁ。手塚、上手くフォローしろよ。