国内・海外を問わず、作者が訪れた水辺にまつわる思い出を述べたエッセイ集。
この人の文章は本当に独特。その特徴は、小説よりもエッセイでより強く出てる気がする。静謐、真摯、穏やか。いつまでもその世界に浸っていたくて、ゆっくりゆっくり言葉を追う。
シベリア寒気団の到来を、「ロシアの老いた貴婦人たちが、衿の詰まった緞子の正装で、馬車を連ねて厳かにも重々しく南に移動する。――温かく迎えてあげたいものだが、尊大な年寄たち相手は正直に言うと準備が大変。道中大慌てで道を譲る諸々の土地の風神たち」と例える。
北海を、「かさかさと乾いた皮膚を持つ、遠い目をした異国の老人のよう」と表現する。
暮色の深さを、「冥界の帝王でも出てくる先触れのようだ」と記述する。
そして、所々に挿入されるケネス・グレーアム『たのしい川べ』の一節。
品のいい、沁みこんでくる文章。
カヤックに乗っていて風と雨に翻弄された話とか、川辺の森の中、日が暮れて道に迷った話とか、別の人が書いたなら笑い話になるだろうに、この人はそうはならない。
でも実は『たのしい川べ』、読んだことないんですよね~; 小さい頃に読んどけばよかったなぁ。
この人の文章は本当に独特。その特徴は、小説よりもエッセイでより強く出てる気がする。静謐、真摯、穏やか。いつまでもその世界に浸っていたくて、ゆっくりゆっくり言葉を追う。
シベリア寒気団の到来を、「ロシアの老いた貴婦人たちが、衿の詰まった緞子の正装で、馬車を連ねて厳かにも重々しく南に移動する。――温かく迎えてあげたいものだが、尊大な年寄たち相手は正直に言うと準備が大変。道中大慌てで道を譲る諸々の土地の風神たち」と例える。
北海を、「かさかさと乾いた皮膚を持つ、遠い目をした異国の老人のよう」と表現する。
暮色の深さを、「冥界の帝王でも出てくる先触れのようだ」と記述する。
そして、所々に挿入されるケネス・グレーアム『たのしい川べ』の一節。
品のいい、沁みこんでくる文章。
カヤックに乗っていて風と雨に翻弄された話とか、川辺の森の中、日が暮れて道に迷った話とか、別の人が書いたなら笑い話になるだろうに、この人はそうはならない。
でも実は『たのしい川べ』、読んだことないんですよね~; 小さい頃に読んどけばよかったなぁ。