読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎著 新潮ミステリー倶楽部 2000年

 第五回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作品。

 目覚めたそこは不思議な所だった。荻島と言うその島はここ150年鎖国状態、数千人の住人は皆この島で産まれ、死んでいく。無神経な男・日比野や嘘しか吐かない画家の園山、唯一人外界と行き来ができる「鈍い熊」のような轟、地面に寝そべって心臓の音を聞く少女・若葉、郵便局員の草薙とその妻百合。人殺しを許される男・桜、300キロもの巨体を持つ女性・ウサギとその夫、日比野が思いを寄せる美女佳代子に右足が不自由で何十羽もの鳥を飼っている田中、警察官の小山田、三週間前に島にやって来て全く馴染もうとしない男・曽根川、そして喋るカカシ・優午。
 コンビニ強盗に失敗して何故かこの島に来た伊藤は、日比野の案内で優午に会う。風や鳥から話を聞ける優午は未来を見通せるらしい。優午が伊藤に「手紙を出し続けること」「自転車をこぐこと」「田中に会ってオーデュボンの話を聞くこと」をアドバイスした翌日、優午はばらばらになって発見される。未来がわかる優午は、何故自分の死を予見できなかったのか。さらに次の日、曽根川がブロック片で頭部を殴られ、殺される。
 一方、現実世界では伊藤を追う警官・城山が伊藤の元恋人・静香を付け狙っていた。静香の元に伊藤からの葉書が届く。全ての出来事が繋がって一つの絵が浮かび上がる。島に欠けていて外の人間からもたらされるものは何なのか。…

 …強姦の多い作品だなぁ; でも、何か全体に霞が掛かってて切迫感がない。出来事を淡々と書いてるだけ、みたいな。これは東野さん、佐藤さんの次に読んだせいかもしれませんね。
 登場人物が多くてなかなか把握できませんでした。記憶力衰えてるからなぁ、名前出てきても「これ、誰だったっけ??」状態(苦笑;)。色々な伏線が繋がって行くさまは確かにお見事でした。
 瀕死の禄二郎が優午を作り徳之助に託す辺りは以前見た何かの芝居を思い出す様な、BGMまで聞こえてきそう。ラストはやっぱり後味がいい。
 デビュー作でもう個性がはっきりしてたんですね。