読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

さまよう刃 東野圭吾著 朝日新聞社 2004年

 ネタばれ、まではしてませんが、かなり後半まで内容書いてます、すみません;

 花火の夜、15歳の一人娘が殺された。五年前に死んだ妻の忘れ形見だった。明らかな性的暴行・覚醒剤の注射の痕、だが父親の長峰重樹に捜査の進捗状況は知らされない。そんな中、長峰に匿名の電話が入る。「…犯人はスガノカイジとトモザキアツヤです」―――言われるまま伴崎敦也のアパートへ向かう長峰。そこにはあの日娘・絵摩の着ていた浴衣や巾着、そして男二人に蹂躙される娘を映したビデオテープがあった。長峰は激情のまま伴崎を殺し、そのまま行方をくらます。もう一人の男、菅野快児を殺すために。伴崎の死から警察は真相に気づき、長峰絵摩殺害容疑で菅野を、伴崎殺害で長峰を追う。顔写真公開捜査の長峰に対し、未成年の菅野は名前さえ公表されない。長峰を支持するマスコミも現れる中、ペンションを営む丹沢和佳子は彼を匿いながらも自首を勧める。長峰の心が揺らぎ始めた矢先、またも密告電話が入る。「今夜八時、スガノカイジ上野駅に現れます」。――長峰は思いを遂げるのか。…

 少し前まで、私の中に「もしもの時の東野圭吾」みたいな言葉がありました。図書館の本棚に目ぼしいものが無かったらとりあえず東野さん借りとけ、と言う(笑)。必ず何冊かは並んでるし、まぁはずれはないし。そんな読み方してたせいで、どの本読んでてどの本読んでないか分からなくなって困ってます(笑)。この頃は本棚に東野作品並んでないし、『殺人の門』読んで嫌な気分になったしであまり実践されていないんですが。
 …で、この作品です。未成年の二人の下卑た表現が凄い。東野さんこう言うの上手いなぁ、「もういいよ、お父さん殺っちゃいなよ」って気分になってしまう。可哀想に思ったのは同じく二人の被害に会って自殺した女の子のお父さんでした。TVや雑誌に騙され、利用され…。和佳子さんが30代前半にしては何だかオバサンっぽい書き方だったなぁ。
 今回、謎解きはないかと思ったら最後の最後でありましたね。うん、確かに「え、この人こんな事する暇(と言うか隙)あるの??」とは思ったんだよ。 
 筆の早い東野さんならでは、「今」を切り取った作品でした。