読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ラッシュライフ 伊坂幸太郎著 新潮ミステリー倶楽部 2002年

 長編ミステリ、デビュー二作目。
 ネタばれあります、すみません;

 志奈子は20代半ば、新進の若手画家。自分を育ててくれようとした佐々岡を裏切り、画商・戸田に従った。金で頬を叩くような戸田のやり方に不満を持ちながらも仙台行きに同行する。
 黒澤は30代半ば、腕のいい空き巣。出掛け、酔っ払っているらしい隣りの住人を手助けした後、以前から目を付けていた舟木と言う男の家に泥棒に入る。昔の仲間からの仕事の誘いを断って家に帰ると学生時代の友人・佐々岡がいた。黒澤は佐々岡の相談に乗り、人生の再起動を示唆する。
 河原崎は20代後半、新興宗教の教祖・高橋に心酔している。ある日、高橋の側近・塚本に呼び出され、神である高橋がもう変わってしまったこと、高橋を殺してバラバラに解体するのでその死体をデッサンしてほしいと頼まれる。
 京子は精神科医、サッカー選手の青山と不倫中。青山の妻を殺そうと計画、インターネットで拳銃を手に入れるがそれの入ったコインロッカーの鍵を無くす。とりあえず妻の所へ行こうと、青山と二人で青山の家に車で向かっている途中、男を轢いてしまう。死体をトランクに入れて運ぶが、いつの間にやらその死体はバラバラになっていた。
 豊田は40代前半、リストラに遭った上次の就職先も決まらず、仙台駅前で野良犬相手に呆けていた。偶然拾った鍵から拳銃を手に入れ、郵便局を襲おうと思い立つ。計画は結局失敗し、豊田は自分を馘にした上司・舟木を殺そうと、会社の前で彼を待つ。
 「バラバラになった死体がまたくっついて動き出す」と言う噂、香港の宝くじ、強盗の計画etc. …全てのピースが最後に繋がる。…

 読み始めて驚きました。…あれ、何だかすらすら読める?? 慌てて発行年月日を確認。伊坂作品を続けて読んで文章に慣れたせいかな、とも思ったのですが、多分それだけじゃない。この人、この二年で上手くなってるんだわ。のんびりしていた、悪く言うと間延びしていた文章が読み易く締まってる。
 仕掛けは途中で分かってしまいました。犬の首輪やら黒猫やら、ヒントは散りばめられてたし。でもこの緻密さはやっぱり凄い。きっちりタイムテーブル作らないとできない。
 読んでる最中、疑問点は幾つか起きるんですよね、バラバラ死体の血は出てないのかとか、服はどうなってるんだろうとか。後で解明はされるんだけど、最初に表記しておいて欲しかったぞ。
 『オーデュボンの祈り』の伊藤くんがゲスト出演してたり、『チルドレン』の銀行強盗騒ぎがちらっと出てきたり、細かいくすぐりが少し嬉しい。佐々岡さんに黒澤さんの住んでる所を囁いた人とかもいずれ出てくるのかしら。
 …しかし、仙台って色々なことが起こってて物騒だなぁ(笑)。