読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

凍える島 近藤史恵著 東京創元社 1993年

 第4回鮎川哲也賞受賞、近藤史恵デビュー作。
 
 喫茶店経営者の女性二人が馴染みの客6人と共に、無人島に慰安旅行に出かけた。
 ペンネーム野坂あやめこと野坂照美、共同経営者のなつこさんこと寺島ナツ子、常連の「うさぎくん」とこ田中幸広、その恋人松島静香と友人守田充、写真家の椋隆之、詩人の矢島鳥呼とその妻・奈奈子。あやめと鳥呼は不倫の関係にあった。
 今はない新興宗教の聖地だったというその島で、二日目の夜、奈奈子が殺される。凶器はあやめの部屋の続きにあった茶室に飾ってあった日本刀で、心臓を繰り抜かれていた。奈奈子の部屋は密室状態で、しかしその部屋の鍵は前日、奈奈子自身が壊していた。
 あやめの部屋にはその前日、「うさぎくん」が来ていて、二人のアリバイは成立していたがそれは言い出せない。狂いはじめる残された人々の関係。自棄になった椋は乗って来たボォトのキイを崖から捨ててしまう。翌日、椋を除く6人でキイを探している間に、椋は屋敷で殺されていた。中庭のオブジェ「抱擁の像」と共に燃やされていた。 
 犯人を捕まえよう、と男連中は山狩りを提案する。彼らを待っている間に、あやめは不思議な口笛に呼び出され、何者かに襲われる。みんながあやめを探している間に、三人目の被害者が出た。「うさぎくん」が崖の上から突き落とされた。
 「うさぎくん」が犯人だったと推理する鳥呼。あやめはそれを否定する。さらに二人で逃げよう、と言う鳥呼に、やはりあやめが、無理だと拒絶する。諦めて屋敷に戻る階段を、鳥呼は転げ落ち、傷を負う。守田が新しい推理を披露する。しかしその後、鳥呼は首吊り自殺をする。
 全て終わって島から戻った後、守田はあやめを訪ねる。真実を求めて。…

 …本名と徒名がごちゃごちゃになって分かりにくかった…。
 え、これが犯人では本当にクリスティじゃん、でもそれっぽくはないんだけど、それにこれでは地の文で嘘をついてることにならないか??とか思ってたら、もう一つどんでん返しがありましたね。でも、殺人の方法や時間とか密室の理由とかの整合性はともかく、動機が今いち理解しにくくてねぇ;  
 コォヒイ、アコオディオンなどの「ー」を使わない表記も読みにくくて、正直いらっとしました。でもオーバーオールはそのままなのよね。だから余計に、何の意味があってのこの表現なんだ??とか思っちゃったよ。
 推理物としての面白さではなく読ませ方も大事かも、とちょっと妙な所が気になった作品でした。