読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

停電の夜に ジュンパ・ラヒリ著/小山高義訳 新潮社 2000年

 インドで産まれ、今はアメリカ在住の女性作家の短編集。
 妻の死産以来ぎくしゃくしていた夫婦が、五日の間一時間続いた停電の夜、お互い今まで秘密にしていた事を打ち明けあう事で関係を修復するかに見えた『停電の夜に』。
 1971年秋、よく家に夕食を食べに来ていたダッカからの留学生・ピルザダさん。ダッカパキスタンから独立し焼け野原になり、後にバングラデシュに生まれ変わるこの戦争を、アメリカのニュースで見るしかなかったピルザダさんを、幼い少女の視点で描いた『ピルザダさんが食事に来たころ』。
 観光タクシーの運転手が、案内したインド系アメリカ人夫婦の妻に妄想する『病気の通訳』。
 4F建てアパートの階段掃除をしその門前で寝起きをしていた老婆が、一組の夫妻の甘言に気を抜いてしまった為なけなしのお金も住む場所も失ってしまった『本物の門番』。
 同僚のいとこの夫の浮気と自分の不倫を重ね合わせる『セクシー』。
 インド女性の家に預けられた白人少年の目から見た夫人の寂しさ『セン夫人の家』。
 引っ越した家から次々出てくる前の住人の忘れ物、キリスト教の関連物。夢中になる新婚の妻に齟齬を感じる『神の恵みの家』。
 幼いころから病みついて育ったビビ・ハルダーが両親に死なれ、叔父夫婦から邪険にされ、しかし近隣の人達の援助を受けて、やがて見つかった治療法とは『ビビ・ハルダーの治療』。
 インドからロンドン、アメリカへ渡ってきた主人公が、アメリカでたった六週間下宿させてもらった老婦人に妻を称賛して貰うことで、お見合いの妻との距離が消える『三度目で最後の大陸』。
 インドと言う国やヒンドゥー教に対する知識が自分に無いから、多分この作品の面白さは十分私には伝わってないんだろうなぁ。とにかく著者が美人でびっくり。『三度目で最後の大陸』が私には一番面白かったです。何かほっこりできて。