読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 万城目学著 ちくまプリマー新書 2010年

 ネタばれあります、すみません;

 マドレーヌ夫人はアカトラの猫。小学一年生のかのこちゃんの元に、一年前にやって来た。犬の玄三郎の妻でもある。
 かのこちゃんは同じクラスのすずちゃんが気になって仕方がない。すずちゃんは難しい言葉をたくさん知っていて、鼻てふてふをする女の子。友達になりたくてなりたくて、でもなかなか切っ掛けを掴めない。でもとうとう、茶柱ならぬフン柱を仲立ちに、二人は「刎頚の友」となった。
 マドレーヌは、雷が鳴り響くゲリラ豪雨の中、玄三郎と知り合った。以来、彼女に「家」を教えてくれた玄三郎に感謝している。玄三郎に「猫股」の話を聞いた後、マドレーヌの意識は近所の奥さん「かとりさん」の身体に入り込んでしまう。訳がわからないまま、それでも夫・玄三郎の窮状をかのこちゃんに訴え、赤身のミンチを購入し、猫の集会場を覆っていたビニールを剥がす夫人。夢かと思われた冒険は、夫の言葉に報われた。
 すずちゃんが遠くへ転校してしまうらしい。その前にせめて一緒に神社の秋祭りに行きたい、と考えるかのこちゃん。だけどお誘いの手紙を渡しそびれてしまった。でも大丈夫、秋祭りにすずちゃんも、お父さんと一緒に来ていたから。そしてその数日後、かのこちゃんは玄三郎と永遠のお別れをする。玄三郎の傍には、マドレーヌがいた。…

 私、今まで読んだ万城目さんの本の中で、このお話が一番好きだわ。
 かのこちゃんとすずちゃんの友情がとにかくいい。かのこちゃんがすずちゃんに憧れるきっかけとか、仲良くなるエピソードとか、とにかく子供らしくて可愛らしい。
 優雅なマドレーヌも勿論素敵。玄三郎との出会いと別れ、お互いを思いやり、見守る温かさ。ちょっと泣きそうになってしまいました。
 そうそう、かのこちゃんの、鹿と話せるお父さんってのは、『鹿男あをによし』のあの人なんでしょうか。マドレーヌ、いつかかのこちゃんの元に戻って欲しいなぁ。いや、戻らないのがマドレーヌ夫人の誇りなのかも。