読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

O・ヘンリ短編集(三) O・ヘンリ著/大久保康雄訳 新潮文庫 1969年

 短編集、3冊目。

 最後の一葉
絵描きの卵スウとジョンジーはワシントンスクエアの屋根裏部屋に同居している。十一月、ジョンジーは肺炎にかかってしまった。ジョンジーは窓から見える蔦の葉に我が身を重ね、最後の一葉が落ちたら自分も死ぬのだという。階下に住むベアマン老人はその話を聞いて、嵐の夜、生涯最高傑作を描く。

 愛の使者
公園のベンチに腰掛ける妙齢の女性。一人の背の高い青年が、少年を使者に立て、彼女の誤解を解こうとする。そもそも彼女は彼の何に不信感を抱いたのか。

 一ドルの価値
ダーウェント判事の元に脅迫状が来た。逆恨みをした通称「ガラガラ蛇」ことメキシコ・サムが、娘のナンシーを殺すという内容、数日後、ナンシーと共に鶉猟に出かけた婚約者リトルフィールド検事は、見知らぬ男の銃撃を受ける。鶉撃ち用の中の弾は届かない距離からの攻撃、今、ポケットにあるのは先日から担当している偽一ドル銀貨のみ。

 天窓のある部屋
パーカー夫人から屋根裏部屋を借りたミス・リースン。その魅力で下宿人たちの多くの心を虜にし、天啓を与えた彼女は、天窓から見える星をビリー・ジャクソンと名付けていた。仕事を失くし、衰弱するミス・リースン。呼ばれた救急車の医師の名はウィリアム・ジャクソンだった。

 ブラックジャックの売渡し人
ポーカーにのめり込み、ウィスキーに傾倒している一文無しのヤンシー・ゴリーは、百年前からのコルトレーン家との仲違いごと、ガーヴェイ夫妻に家屋敷を売り渡す。実際、コルトレーンは人格者で、ヤンシーを唯一気に掛けてくれる相手だというのに。

 煉瓦粉長屋
ブリンカーが知り合った女の子は、ブリンカーが相続したばかりの煉瓦粉長屋に住んでいるという。数多くの男と外で会う、という彼女。家にはお客様を招待できるような客間がないから。

 伯爵と婚礼の客
アンディ・ドノヴァンの住んでいる下宿屋に二週間前に入って来た若い女性ミス・コンウェイは、ある日喪服を纏って現れた。許婚者の伯爵が亡くなったと言って、ロケットに入った写真を見せてくれた。

 にせ医師物語
ジェフ・ピーターズがインディアンの呪師ドクター・ウォーフーと名乗って蘇生苦味チンキ剤を扱っていた頃。アンディと組んで、市長の具合を精神療法で治そうと試みる。だが市長の傍らには州の医師会から派遣された刑事が…。


 人生の回転木馬
治安判事ウィダップの元にやって来たランシー夫婦は離婚したいと申し出た。慰謝料として5ドルを要求する女房、だが夫はそんな金はないという。その日の夕暮れ、ウィダップは強盗に襲われ、5ドルを奪われた。

 釣りそこねた恋人
ビッゲスト百貨店の手袋売り場の売り子・メイシイに首ったけになってしまったカーター。画家で、百万長者で、旅行家で、詩人で、つねに自動車を乗り回しているカーターだが、メイシイを射止めそこねてしまう。口説き文句に使った地名を別の場所に勘違いされて。

 心と手
東部行き列車の客席で、魅力的な婦人の前に座ったのは、手錠で繋がった二人の男。どうやら保安官と彼女は顔見知りらしい。

 黄金の光
南米コロンビアから武器の買い付けに来たファルコン将軍。親切なケリー氏は武器を用立てて大金を騙し取ろうとするが、将軍が心奪われたのはオブライエン夫人とそのホテルだった。

 都会の敗北
田舎から出て来て都会で弁護士として成功したロバート。美しい社交界の花アリシアを妻に得て、すっかり都会人を化したかに見えた。妻に請われて、実家の農場を訪ねるまでは。

 荒野の王子さま
11歳のレナは、石工宿泊所でこき使われ、童話の本まで取り上げられて、絶望の手紙を書く。親元に届く筈だったそれは、途中強盗に襲撃されて奪われる。さて、その手紙を読んだ強盗の取った行動はレナにはどう映ったか。

 都市通信
アゼイリア・アデアと会って寄稿文の出版の話をまとめようとした「私」。馬車の御者には二ドル取られ、でもその二ドルは何故かアゼイリア・アデアの手にあった。しかもしばらくすると、飲んだくれで感じの悪いカズウェル少佐がその紙幣を持っている。急いで彼女との契約をまとめた翌日、カズウェル少佐の遺体が発見された。どうやら誰かと殴り合いの喧嘩をしたらしい。…


 いい加減読まなきゃな、と借りた一冊。
 相変わらずウィットに富んだ内容、小洒落た演出、意外な結末。ただ文化的な面なのかな、分かりにくい所はあって、ええと、ショップガールが外出先で男性と会うのはそんなにいけないことなの? 不特定多数ではしたない、ってことなのかな。家でもてなす、ってのもなかなか危なさそうな感じがするんですが。
 全体的に幸せな気分で終われる話が多くて、これも愛され読み継がれるる理由なんでしょうね。