読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

粛清の嵐 小説フランス革命Ⅹ  佐藤賢一著  集英社  2013年

 ロラン夫人逮捕、エベール台頭、マリー・アントワネット処刑。
 真の救世主は誰か。
 衝撃のマラ暗殺。恐怖政治、フランス全土へ。

 サン・キュロットの代表ともいえるエベールの入れ知恵により、蜂起はなった。今度は指導者までサン・キュロットの出身、ジロンド派は次々追い込まれ、逮捕者が続出する。黒幕のマノン・ロラン夫人にまでその手は伸びた。
 結局議会が暴力に屈した形になった現状に、デムーランもロベスピエールも納得がいかない。自分たちが望んだ民主主義は、こんなものではない。デムーランの声はロベスピエールに届く前にサン・ジュストたちロベスピエールの取り巻きに遮られる。折しもマラが暗殺され、その後継者に名乗りを上げろとロベスピエールサン・ジュストに煽られ、その言葉のまま恐怖政治に手を染めて行く。
 次々に処刑される王族やジロンド派。一方、エベールの勢いも止まらない。女性活動家のクレール・ラコンブやアナカルシス・クローツの後押しも得て、とうとうキリスト教の否定をぶち上げた。
 この上宗教戦争にまで手を出している場合ではない。この自体に、デムーランは動く。ロベスピエールと再び手を組み、シャンパーニュから帰って来たダントンと、古株の革命家たちが揃い踏みする。
 その頃、サン・ジュストアルザス地方の戦線にいた。軍の規律を正し、ストラスブールブルジョアたちに物資と金を出させ、戦況を立て直そうとしていた。…
 

 とうとうマリー・アントワネット処刑。ロラン夫人も死刑となり、折角彼女が逃がした夫は逃亡先で自殺。…二人の娘はどうなったんだろう。
 ロベスピエールたちジャコバン派が、恐怖政治だと承知していながら突き進んで行ったのにはちょっと驚きました。結果としてそうなってしまったのではなく、もうそうするつもりだった訳ですね。
 革命が脱キリスト教運動にまで広がって行ったのにもびっくり。…フランスって、宗教色薄かったっけ??  で、代わりに自由の女神、理性を拝む。…アメリカにもある、あの自由の女神でしょうか。アメリカは結構どっぷりキリスト教国家のような気が…。
 「議員なんか何回入れ替えたって、必ず腐敗していくんだ。綺麗だった連中まで、当選するや薄汚れて、自分のことしか考えなくなっていく。」 でも、いざ普通選挙が行われても、投票したのは意識の高いブルジョアだけ。…何か現在でも、似たようなことが起こっているような…。
 サン・ジュストがフランス化を推し進めようとしているアルザスは、教科書に載ってた小説『最後の授業』のあのアルザスですね、「ビブ・ラ・フランス!」の。ということはフランス化は成功していく訳だ。
 もう一度、デムーラン、ロベスピエール、ダントンが手を取り合います。どこまで行ったら終わりになるのか。
 次巻へ続きます。