シリーズ2冊目。
ネタばれあります、すみません;
ペルセフォネと秘密の花園
野々宮鹿乃の家を金髪碧眼の少女が訪ねて来た。かつて昆虫学者の曽祖父が日本に留学した折、残した着物〈秘密の花園〉を引き取りに来たという。それらしき着物を蔵から出してみるが、色無地で〈秘密の花園〉らしくはない。周囲の話を聞き取るうち、着物の持ち主は曽祖父の夭折した娘であること、日本人の婚約者によって誂えられたものだと分かって来た。祖母からのヒントは〈春の女神〉佐保姫、やはり昆虫学者になった婚約者の孫は、鹿乃の家の庭に飛ぶギフチョウを指摘した。
杜若少年の逃亡
蔵にあった男児用の着物を出してみると、家の中を男の子が駆け回るようになってしまった。馴染みの骨董商の店主は、祖母からの伝言「正体を見抜くこと」を伝えるのみ。たまたま居合わせた慧の後輩 博物館に勤める加茂も一緒に、家中のヒントを探し出す。
亡き乙女のためのパヴァーヌ
楽譜の描いてある帯を出したその日から、鹿乃にはたどたどしいピアノの音が聞こえる。音楽に詳しい友達 奈緒と共に、元の持ち主の親族を訪ねる鹿乃。病弱で着難しかった若当主が、献身的に世話してくれた女中に贈った品だと判る。彼女は西陣空襲の犠牲者だった。
回転木馬とレモンパイ
良鷹が預かった回転木馬のオルゴールは、何故か音が鳴らない。持ち主の老婦人は、回転木馬を探してくれ、との言葉を最後に死んでしまった。良鷹は馴染みの骨董商の娘 真帆を使い走りに、彼女の過去を探る。豪商の娘で病弱だった彼女は、神戸の別荘で家庭教師と女中と、往診に来てくれる医師だけを頼りに生きていた。…
主人公 鹿乃とその兄と下宿人がメインだった前巻に加え、鹿乃の友達や周囲の人々も描かれたシリーズ2冊目。相変わらず 綺麗な着物に美味しそうな食べ物、不思議の謎解きと、惹きは十分です(笑)。哀しいエピソードが多くなってしまうのは仕方ないことですね、何しろ心を残してるようなことなんだから。
佐保姫っていうと、私は佐保彦の反乱を思い出すんですが、これは氷室冴子さん『アグネス白書』の影響だな(笑)。
次巻に続きます。