読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

風の万里 黎明の空 上下 十二国記 小野不由美著 講談社X文庫ホワイトハート 1994年

 慶国に、玉座に就きながらも、王たる己逡巡し、忸怩たる思いに苦悩する陽子がいた。
 芳国に、王と王后である父母を目前で殺され、公主の位を剝奪されて哭く祥瓊がいた。
 そして、才国に、蓬莱で親に捨てられ、虚海に落ちた所を拾われて後、仙のもとで苦行を強いられ、蔑まれて涙する鈴がいた。
 負うにはあまりある苦難(かなしみ)の末に、安らぎと幸せを求めて、それぞれに旅立つ少女たち。
 その果てしない人生(たび)の門(いりぐち)が、いま開かれる!! 

 景王――陽子は、官吏の圧政で多くの民が重税や苦役に喘いでいることを漸く知り、己の不甲斐なさに苦悶していた。
 祥瓊は、父峯王が、簒奪者に弑逆されなければならないほど、国が荒んでいることに気づかなかった自分を恥じていた。
 鈴は、華軒(くるま)に轢き殺された友・清秀の命を守れなかった自分に憤り、仇討ちを誓った。
 ――それぞれの苦難(かなしみ)を抱えた三人の少女たちの邂逅(であい)は、はたして希望(よろこび)の出発(はじまり)となるのか⁉ 
                        (折り返しの紹介文より)

 再々読。…いや、もう一回くらい読んでるかな。
 私が初めて読んだ十二国記がこの作品です。図書館の書架に並んでいて、前作があるとも知らず飛びついてしまいまして。おかげで世界観がなかなか掴めず、「何々、どういうこと??」と盛大に戸惑いながらも、ただ面白いことだけは理解したという。
 私が小野不由美さんという作家の名前を知ったのは30年近く前、コミックマーケットのカタログにて(爆!)。事前にサークルチェックしていたら、「十二国記はじめました」「小野不由美あります」の文言をやたら見かけた年がありまして。突然現れたこれらは一体何??と頭の中に?マーク飛ばしながらページをめくり、どうやら「小野不由美」と「十二国記」は関連したワードらしい、という見当だけつけました。でも当時の私の捜索能力ではそれ以上のことが分からず、とりあえず図書館で作者名を検索。ヒットしたのは『東亰異聞』、『東亰異聞』は勿論面白かったのですが「ハマる」までは行かず、消化不良のまま数カ月を過ごし、そしてある日いきなり、中央図書館の書架で本作を見かける訳です。

 「これじゃん!!!」と勢いのまま読んだ『風の万里 黎明の空』、まぁとにかく胸に突き刺さりました。己の責任に気付いていなかった祥瓊、不幸に酔っていた鈴。周囲を恨むばかりで己を顧みない、いやもう我が身を反省しました。朱晶と清秀の台詞が耳に痛い、でも梨耀の態度もどうなんだ、とはちょっと思うんですけどね。
 今回、祥瓊の台詞が桑島法子さんの声で聞こえてきて驚きました。私、アニメの十二国記はあまり認めてなかったんですが、それでも印象深かったんだなぁ。采王の息子にも、もう言及されていたんですね。船で他国から難民を集めている、土地を貰えるという噂が流れている、というやり方に某国を連想したのは改めてでした。で、やっぱり、景麒は好かん!!と思ったのでしたよ。陽子が聞く耳持たなかった、ってそれでも言いようがあるだろうよ(苦笑;)。

 ああ、記憶をまっさらにしてもう一度シリーズ一作目から読めたらなぁ。何しろ『月の影 影の海』を、大オチ「陽子が王様だった」を知ってしまって読んでるからなぁ。そこだけが読みどころではないんですが、でも惜しいことをしたなぁとは未だに思います。