読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。 青柳碧人著 双葉社 2022年

 シリーズ2冊目。

 第一幕 目撃者は木偶の坊
 森の猟師のおじさんの家へ行く道で、赤ずきんは一匹のキツネと黒ネコと三毛ネコと出会います。彼らは木でできた腕を落として行きました。ひとりでに動くその腕との筆談で、赤ずきんは≪親指一座≫サーカス団に向かいます。腕の本体ピノキオを助けるためです。でもピノキオを引き取ることは叶わず、それどころがその夜、三毛ネコが何者かに絞殺されてしまいました。目撃者はピノキオの頭のみ、おしおきでバラバラにされた状態で、赤ずきんが三毛ネコを殺したのを見たと証言します。
 嘘がつけないピノキオの証言を引っくり返すにはどうしたらいいのか。赤ずきんはほら吹き男爵家の次男ジルベルト・フォン・ミュンヒハウゼンの助けを得て、お面売りのおばあさんとスイカ売りのおじいさんの証言を元に、推理を組み立てます。

 第二幕 女たちの毒リンゴ
 魔女に持ち去られてしまったピノキオの胴体と足と左腕を求めて、赤ずきんは見知らぬ森の中へ。そこで出会った小人のおじいさんに、ピノキオの素材がタマネギザクロという貴重な木で、魔法の材料として珍重されていることを教えて貰います。小人の家には今、お城を追い出された白雪姫が居候していて、家事を取り仕切っているのだとか。赤ずきんも一緒に帰ってみると、白雪姫の作ったスープに毒豆ゴブリンビーンズが入っていたとかで、小人の一人が死んでいました。ゴブリンビーンズは実と根を半日以内に食べないと毒として作用しません。その様子を魔法の鏡で見ていた王妃ヒルヒルデは、自分の手を汚さず白雪姫を亡き者にする方法を思いつきます。

 第三幕 ハーメルンの最終審判
 ヒルヒルデの鏡によって、ピノキオの胴体がハーメルンにあることが判りました。ハーメルンでは、かつてフルートの音によってネズミを退治したのに その報酬が支払われなかったことを恨んで子供を連れ去った男が45年間、牢屋に繋がれていました。赤ずきんが町を訪れた時、牢番が死体で発見されます。牢屋はもぬけの殻でした。笛吹き男はどうやって脱獄したのか、その事件の裏には哀しい事情と大いなる計画が隠されていました。

 第四幕 なかよし子豚の三つの密室
 狼を倒したことによって、銀のブドウを手に入れた子豚の三兄弟。それは魔女マイゼン18世を従属させる秘宝でした。人間を豚の姿にして奴隷とし、自分たちは百年の寿命を得て悠々自適の三兄弟。そろそろ次の百年のための魔法をかけ直されなければなりません。魔女はその材料としてタマネギザクロの木を必要としていました。
 赤ずきんが町を訪れた日、長男は藁の家でナイフに刺され、続いて次男はレンガの家で首を吊って死んでいました。どちらの密室も看破した赤ずきんは、トカゲに変えられてしまいます。小さな姿で証拠を集める赤ずきん。犯人を追い詰めるため、マイゼン18世と手を組もうと考えます。…

 相変わらずよく考えつくよなぁ。ピノキオの「嘘をつくと鼻が伸びる」特徴を、目撃証言の信憑性に生かすとは…!
 「同じ重さのスイカを買いにくる」とか「赤ずきんに似ているお面」とか「トウモロコシのひげを食べる虫」とか、伏線はさりげなくどころか張られてるんですけどね、この分かり易さは有難く享受しましょう(笑)。
 基本設定が魔法ありきなのに論理的なのは相変わらず。なるほど、と面白く読めました。