読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 青柳碧人著 双葉社 2020年

 連作短編集、になるのかな。

 第1章 ガラスの靴の共犯者
 赤ずきんがクッキーの包みとワインのボトルを持って旅をしていると、森の中で魔法使いに出会いました。ところがこの魔法使いがぽんこつで、赤ずきんの靴を泥だらけにしてしまいます。小川で靴を洗っていたら、シンデレラに出会いました。義理の姉に靴を捨てられてしまったと嘆くシンデレラ。魔法使いはシンデレラのおんぼろ服をドレスに変え、舞踏会へ行けるようにしてくれました。靴は別の魔法使いが、ガラスの靴に変えてくれました。シンデレラと赤ずきんは連れ立ってカボチャの馬車でお城に向かいますが、途中で男を轢いてしまいました。さっさと死体を片付けるシンデレラ。でも後々、その男は馬車で轢かれる前に死んでいたことが分かります。疑いが掛かったのは、シンデレラのお姉さんでした。

 第2章 甘い密室の崩壊
 お菓子の家の中で、ヘンゼルとグレーテルの継母の死体が見つかりました。倒れた食器棚の下敷きになったようす、かまどの中には魔女の焼死体まで。家は密室だったのですが、グレーテルが室内に妙に詳しかったのが、赤ずきんには気になりました。

 第3章 眠れる森の秘密たち
 オーロラ姫が眠り続けている国グーテンシュラーフ。その留守を守る宰相の家に泊めて貰った赤ずきん、ところがその夜に火事は起きるわ、殺人事件は起きるわ、オーロラ姫までいなくなってしまいました。容疑が掛かった若者はアリバイを主張しますが、証人のカップルが出てこない状態です。赤ずきんは、彼の冤罪を晴らすよう依頼されます。

 第4章 少女よ、野望のマッチを灯せ
 赤ずきんは目的の町シュペンハーゲンに辿り着きました。この町の特産物は少女エレンのマッチ、貧しい身からマッチ工場を立て直した少女エレンのマッチは品質がいい上、燃えている間は望む幻を見ることができる、と中毒患者が出るほど。おばあさんをマッチ中毒で亡くした赤ずきんは、エレンを倒すためにこの町に来たのでした。同じくエレンに反旗を翻そうとしているレジスタンスと合流できたのも束の間、赤ずきんはエレンに捕まって、私設の牢屋に入れられてしまいます。赤ずきんはここから反撃を開始します。今までの伝手も使って。…

 昔話シリーズ、になるのかな。
 今回は全て一つにまとまりましたね、名探偵赤ずきん(笑)。童話の世界を遵守しながらもオリジナル設定、魔法の効き目が靴だけ違うとかお菓子の家は魔女が生きてる間は自然に保守されていくとかオーロラ姫にかかってる保護魔法とか、細かい所が効いてくる展開におお、と思いました。そう、魔法が使えるのに論理的(笑)。
 個人的に、アンデルセンの主役を悪役に持ってくるのはちょっと躊躇しました。マッチ売りの少女、切ないなぁ。グリムやペロー作品はそんなに気にならないのは何なんだろうなぁ。
 そうそう、ビジュアル何となくディズニーチックでした(笑)。