読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

床下の小人たち メアリー・ノートン作/林容吉 訳 岩波少年文庫 1956年

 イギリスでの出版は1952年。カーネギー賞受賞作品。

 イギリスの古風な家の床下に、小人のクロック一家が住んでいました。お父さんのポッド、お母さんのホミリ―、一人娘のアリエッティ。昔は仲間もたくさんいたのですが、今では三人だけです。暮らしに必要なものは全て、こっそり人間から「借りて」いましたが、ある日、インドから静養に来ていた男の子に、ポッドは姿を見られてしまいます。そして、初めて「借り」に出たアリエッティも。
 怯える両親に、男の子は自分は敵ではない、と言います。そして色々なものを差し入れするのです。人形の家の家具や、原っぱに移住して連絡が取れなくなっていたおじさんとの手紙など。しかし、それはすぐドライヴァおばさんに発覚してしまいました。… 


 映画『借り暮らしのアリエッティ』原作本。映画の方は、TV放映されたのを見ました。内容が、結構原作通りで驚きました。お母さんの造形は、やっぱり鬱陶しいものだったのね(苦笑;)。
 いやぁ、しかし、これは楽しい。細部に宿る物語がいかにもイギリス、これは映画ではあまり強調されていなかったような…。安全ピンのハンガー、マッチ棒の薪、指抜きの鍋。うちはリカちゃんは買って貰えましたがリカちゃんハウスは駄目だったので、小さい頃マッチ箱を重ねてタンスを作ったりしてました、そういう世界がたまらない。
 いつの間にやら見当たらなくなってしまったヘアピンやリボンが、こういう小人たちに使われているのかも、と想像するだけで嬉しくなってしまう。
 体長15センチくらい、とのことで、それにしては色々なものの尺度が合わない気がしなくもないけど、まぁいいや(苦笑;)。
 ただ、人間が猫を飼い始めてからいなくなったエグルティナやら、原っぱから「帰る」と言って出て行ったきり戻らないル―ピーおばさんやら、ちょっと考えると怖くなってしまうエピソードも満載なんですが。ラストのネズミ捕り屋に追い詰められる様も。
 
 小さい頃、やはり小人が出てくる話を読んだことがあったよなぁ、あれは日本が舞台で、一杯の牛乳を「お供え」みたいな感じで小人と分けあう、いわゆる戦争文学に属する話だったよなあ、と気になったので検索してみました。どうやらいぬいとみこさんの『木かげの家の小人たち』だったようで。
 オマージュ作品、だったのかなぁ。これ、著作権とか大丈夫だったのかしら、と今にして思ってしまいました。