読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ぜんしゅの跫(あしおと) 澤村伊智著 角川ホラー文庫 2021年

 短編集。

 鏡
 仕事の付き合いで出席した結婚式の新婦は、お世辞にも美しいとは言えない容姿だった。その振る舞いも自虐的で、会場で笑いを取っている。出席者から弄られる「役割」を果たす彼女。同じテーブルにいた男が、彼女の生い立ちを放し始める。

 わたしの町のレイコさん
 怪談ライターの叔母 湯刈弥生に、都市伝説を話す飛鳥。この頃流行っているのは、「レイコ」という名のオカマに襲われ、局所を切り取られるというもの。弥生はその近隣で、20年前 小学生の男の子が誘拐され、傷つけられた後自殺したという元ネタらしき事件があったことを調べ出して来た。後日、飛鳥はボーイフレンドと一緒に「レイコ」らしき人物を見かけ、後を追った。

 鬼のうみたりければ
 野崎の元同僚の女性が野崎に会いに来た。結婚して夫と兵庫県に住んだ彼女は、クモ膜下出血で倒れた姑の面倒もみることになったという。夫はリストラにあい、全てを抱え込む羽目になった彼女のの前に、夫の双子の兄が現れる。兄は小さい頃、山の中で行方不明になったままだった。いわゆる神隠しにあっていたようだと兄は語り、弟の名を使って働き、母の面倒を見るようになる。劣等感に駆られた弟は兄を殺すが、兄はそのたび無邪気に生き返って来るという。

 赤い学生服の女子
 交通事故で三ツ角学院大学病院に運び込まれた古市俊介。同部屋の入院患者が、夜毎に亡くなっていく。皆、赤い学生服の女子に会う、と言って。果たして、古市も赤い学生服の女子と出会ってしまった。古市は看護師の女性に相談する。多分、その女子は自分がの幼馴染み比嘉美晴だろうということ、彼女は中三の時に変死したということを。

 ぜんしゅの跫
 野崎と真琴は結婚した。式は無事済んだものの真琴は怪我してしまい、野崎は真琴の姉の琴子と組んで、足音だけしか聞こえない通り魔の調査に乗り出すことに。大怪我を負いながらも影しか写らない巨大な化け物を追跡すると、一軒の家に辿り着く。その家には二頭の怪物の描かれた襖絵があり、襖から抜け出して人を襲った言い伝えもあるのだとか。ただ、今はどちらも抜け出せないよう、片方は目を潰され、もう片方は足を切られている。今更怪物が抜け出せたのは何故か。…

 相変わらず、なかなか厭なホラーです(笑)。すっぱりハッピーエンドはあまりありませんし。
 ただスプラッタで怖い、とかだけではなく、人のイヤな面も打ち出してるんですよね。『鏡』の語り部の男も、奥さんへの態度が気になるなあと思ってたら、あれ自分が優位に立ってた、無意識に、ってことですもんね。男らしさ、女らしさという規定概念、役割、立ち位置に触れた作品も多いような。
 それにしても作者、容姿に関するお話に拘るなぁ。