読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

EPITAPH東京 恩田陸著 朝日出版社 2015年

 東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」―。
 その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。
 将門の首塚天皇陵…東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。
 徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。
 吉屋の視点から語られる「drawing」。
 三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは―。
 これは、ファンタジーか? ドキュメンタリーか? 「過去」「現在」「未来」…一体、いつの物語なのか。
 ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!
                                           (帯文より)


 これは、粗筋が書き難い話だなぁ。
 連作短編を集めたような、そうでないような。まとまりがあるようなないような、オチはないしねぇ(笑)。でも装丁は無茶苦茶凝ってるし、面白いのは面白いんだよなぁ、ってのは私の贔屓目かしら(苦笑;)。
 主に東京の、でも京都や神戸の各所の様子も描かれ、それに伴って連想される語り手の思い出の映画や漫画、小説が語られる展開。執筆中の戯曲『エピタフ東京』の構想や一部分、「吉屋」と名乗る吸血鬼(?)の独白。これは確かに、恩田さんでないと書けない作品だと思う。
 恩田さんの作品には少なからず「ああ、そうそう」と共感できる箇所があるんですが、今回それは少なかったかなぁ。舞台が東京メインな分、土地勘がないせいかも。そうそう、大阪弁の「ごりょんさん」てのは「御寮さん」の詰まった呼び方だと思ってたんですが。「ん」はしっかり発音しない感じで。
 とにかく、劇中劇『エピタフ東京』は完成させてほしい、と思いましたよ。できれば小説で読みたいなぁ。