読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

残心 凛の弦音 我孫子武丸著 光文社 2022年

 シリーズ2作目。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 第一話 残身と残心
 十二月に棚橋先生が亡くなって以来、篠崎凛は弓の調子が戻らない。凛を被写体にしている中田先輩にも「つまらない射だ」と言われてしまう。明けて一月、凛の前に波多野郁美が現れた。昨年全国大会で個人優勝した彼女は、凛を遠的に誘う。

 第二話 遠近
 中田先輩も無事志望大学に合格し、高校を卒業した春休み。いよいよ中田先輩監督による映画の撮影が始まった。慣れない作業に戸惑う凛に、共演している波多野は「中田先輩を賭けよう」と挑発してくる。先輩のことは恋愛感情はないのだが、波多野に対し満更でもない様子なのがもやもやする。

 第三話 仁
 新学期が始まって、新入部員も断るほど入って来た。部長として頑張る凛の前に北島刑事が現れ、凛の学校の新入生 沢口がボーガンで撃たれて怪我をした、彼は犯人は弓道部の新入部員 岡崎だと証言していると言う。岡崎は、鳥や野良猫を狙ったことはあっても人間を標的にしたことはない、と言っているらしい。廃部の可能性も頭をよぎる中、凛は沢口の証言に疑問を抱く。

 第四話 矢羽
 ゴールデンウィークの最終日、凛は波多野に誘われて、社会人の大会に出ることに。一緒に来た中田のビデオカメラがなくなるという事件が起きた。幸い、カメラは大会本部に届けられていたが、調べてみると、竹弓竹矢を使っていた青年の動画が消えている。折しもその青年は、決勝に残る成績を出していたにも関わらず、失格になっていた。凛はある可能性を思いつく。

 第五話 蜻蛉
 進路に迷う凛。希望はただ、ずっと弓を続けたいだけ。顧問の吉村先生からアドヴァイスを受け、何となく目指すところが見えて来た。所が、吉村先生の不穏な告発文が掲示板に書き込まれた。曰く、吉村先生が凛にセクハラしているとのこと。吉村先生も凛も否定したが、やがて先生に関するある噂が流れ始め、先生は学校を去る決意をする。

 第六話 弽(ゆがけ)
 夏の大会後、弓を休止して受験勉強に勤しむことにした凛。中途半端に弓に触るとかえって勉強に集中できないと一切を絶ったが、十二月、とうとう禁断症状が出てしまう。母親に諭されて行った区立のスポーツセンターで、凛は吉村先生と再会する。

 第七話 息合い
 二月末、凛は大学に合格した。スポーツセンターで吉村先生と練習していると、波多野郁美が現れた。波多野は女優の道に悩み、また中田も苦労しているらしい。本多先輩も大学の弓道部を辞めたという。凛たちは四人で、スポーツセンターの弓道場に並んだ。…

 おお、続いたか、と多少驚きつつ。
 前作の内容をほぼほぼ忘れてまして、いや、設定くらいは覚えてたんですけど(苦笑;)。手探りでそろそろと読み進みました。
 作者本人もあとがきで仰ってましたが、ミステリではなく青春小説、ですね。それっぽい作品もありましたが、「仁」なんかは、それはちょっとこじつけじゃないか?と思ったり。
 心が大事、という精神的な世界の筈なのに、形から入っても見事な「射」は打ててしまう。そんな割り切り方をしてた波多野郁美も違和感は感じているようで、その辺りが奥深さなんでしょうね。心根が悪くても戦績は優秀、まぁこれはどんなことにも言えることですが。凛は禁断症状起こしてて、これじゃ危険なスポーツだよ(苦笑;)。
 一生大事につきあっていくものとして弓を選んだ凛、これ大学編もあるんでしょうか。一応の結論は出た気がしますが。