読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

小説 ブラックジャック 瀬名秀明著/原作 手塚治虫 誠文堂新光社 2019年

手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』を、瀬名秀明が小説で蘇らせた作品。

第一話 B・J vs. AI

遂に自律型AIを搭載した医療ロボット≪サージェリー・プロ≫が完成した。その開発チームの医師の言葉は、あたかもB・Jへの挑戦状だった。彼の恋人に説得され、≪サージェリー・プロ≫の手術見学に臨んだB・J。思わぬ術野に動きを止めるロボットを前に、B・Jは手術室に入る。


第二話 命の贈りもの

空港にて、B・Jはとある男に声を掛けられる。彼の弟は二十年前、筋肉が骨化する難病に見まわれ、治療方法がないまま医学の進歩を信じて人工冬眠に入っていた。今、iPS細胞の開発で彼の病気は克服されようとしている。改めて彼を目覚めさせ、骨化した部分を取り除く手術を、B・Jは依頼される。


第三話 ピノコ手術する

B・Jに皮膚を提供してくれたタカシの名に引かれ、とある中東の国を訪れたB・J。そこにはタカシの友人で、爆発物探知犬のハンドラーのアカリがいた。B・Jの目の前で爆破テロが起き、三匹の犬が瀕死の状態でB・Jの前に横たわる。同じ頃、日本ではピノコが、嵐の中大怪我をした犬を助けるため、B・Jと連絡を取ろうとしていた。


第四話 女将と少年

B・Jの友人で医師の手塚は、中学生の息子を持つ行きつけの呑み屋の女将が心配だ。わが身を顧みず働く母を思い、息子は手塚に自分の肝臓を移植してほしい、との提案する。術日が間近になったある日、手塚は胆管癌で倒れてしまった。手塚はB・Jに、自分が彼女の執刀できるよう、自分の手術を依頼する。


第五話 三人目の幸福

母の仇かつ身体と心に消えない傷を残した男の居所を掴んだB・J。たどり着いたその場所で、「死神の化身」と呼ばれる男、ドクター・キリコと遭遇する。男は食道がんを患い、その余命を絶つようキリコに依頼していた。…

 

 瀬名さん、色んな仕事してるなぁ。

 とりあえず、この依頼を引き受けた勇気に感服。多分、浦沢直樹氏という先陣の存在は大きかっただろうな、と勝手に思ってみる。

 浦沢さんが作風を自分に引き付けたのに対し、瀬名さんは原作に近づけようとしているのがひしひしと感じられました。B・Jはじめとする登場人物の口調とか、時々現れるメタなギャグとか。「チャンピオンのマンガを読んだんです」なんてセリフは、そうそう、そんなこと言う!!って激しく頷きましたよ。

 各話巻末の「出演」ことキャスト紹介にも、ああ成程、スターシステム、と心を擽られました。個人的には『フライング・ベン』が嬉しかったなぁ。

 懐かしいエピソードも数々あって、愛情が伝わってくる内容でした。山中教授、B・Jと共演できて嬉しかっただろうなぁ。