大腸にポリープができていると指摘され、ショックを受ける柳沢教授。黙々と今後の戦略を考え、記述する。――「たそがれ」
老人向けの介護ビジネスを起業し、着々と成果を上げる教え子がいた。彼は夕凪の時間を見計らって今の自分を報告に来る。結婚、事業拡大、倒産、それからの生活。教授は彼を吟味している自分に気付く。――「Gone With the Wind」
若かりし頃、妻 正子が盲腸で入院した時の話。幼いいつ子が赤ん坊の奈津子の世話をするのを見て、教授は自分が何も見ていなかったこと、妻が自分をどう評していたのかを知る。――「オー・マイ・リトル・ガール」
華子の幼稚園に転入してきたせりなちゃん。HiPadを手に幼稚園の人気者に。柳沢教授の気まで引いて、華子は心中穏やかではない。――「おじいちゃんと技術革命」
世津子が小学校の教育実習に行くことになった。憧れの先生がまだいる、自分の指導教官についてくれると大はしゃぎの世津子。やがて自分が小学生の時にやらかした過去まで思い出すのだが。――「いつのまにか少女は」
義母のエリザベスが留守にする、ということで、柳沢教授は父親 康則の屋敷を訪ねる。反りが合わず、口論にばかりなる二人。そんな親子を見越して、エリザベスは手紙を残した。教授の亡き母が、かつて康則に送った手紙を見つけたことを。――「桜の杜の満開の下」
今の所の最新刊。…そうか、2013年から出てないのか。
図書館で見かけて、久しぶりに手に取りました。登場人物結構忘れてて、「この人誰だったっけ」と記憶の底から引っ張り出して来るのに少々時間が掛かりました;
娘が母親の行動をよく見てる、ってのは妙に共感しました。父や兄って、本当、見てないのよね。ゴミ袋どこにしまってるとか、全然見てない、気付いてない。正子さんは不平不満を持ちつつ自分でこなしてしまいますが、今だとこれ、愛想つかす一因にもなるよなぁ。
教授も何だか死を意識し始めました。「あと何回」が美しくも切なく響く。それは私の意識も変わったせいかもしれませんが。
次巻、あるのかなぁ。