読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

魔法を召し上がれ 瀬名秀明著 講談社 2019年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 「ぼくは自分が消える前に、魔法についての話をしよう」

 湾岸町のレストランで働くマジシャン・ヒカル。テーブルを巡り、料理を楽しむ客にマジックを披露している。高校時代、突然この世から消えた同級生の少女・美波を彼は忘れられない。ある日現れた、彼女の死にかかわりをもつ男。美波はなぜ死んだのか。時を同じくしてヒカルは、伝説的な老マジシャンからロボットを託される。
 一人と一体、そして彼らを取り巻く人々の再生の物語。                (帯文より)

 第一話 魔法を召し上がれ
「ぼく」ヒカルは横浜のレストラン≪ハーパーズ≫で、お客様が食事を待つ間、テーブルマジックを披露して働いている。ぼくにマジックを教えてくれたのは、両親を亡くしたぼくを引き取ってくれた叔父ドクと、≪ハーパーズ≫前任者テルさん。そして、ぼくに魔法をかけたのは美波。高校の同級生で、文化祭の前、ぼくの目の前から突然消えてしまった少女。≪ハーパーズ≫では美波のお姉さん美雪も働いている。
ある日来店した客は、自分はカメラマンだと名乗り、ヒカルの宣伝用の写真を撮らせて欲しいと営業を掛けて来る。美雪曰く、彼は美波がこの世から消える原因を作った男だと言う。
プロのマジシャンとして彼をあしらったその日、盲目のマジシャン ジェフは、ヒカルにロボットを預ける。ミチルと言う少年を。

 第二話 ビー・アワ・ゲスト
ヒカルはレストラン≪ル・マニフィック≫で働き始めた。ロボットを巧みに使い、サービスを追求する新感覚の店。ヒカルのマジックも、新繊維や折り紙、照明やロボットの協力も得て新しい局面を迎えて行く。小説家の熊谷さんがイラストレーターの桜井さんに、思いを伝えるためにも。

 第三話 折れた魔法の杖
ミチルがいなくなった。右腕だけを残して。ヒカルはミチルを探してミチルに縁のある大阪大学東北大学を訪ね歩く。ミチルの前身のロボット ケンイチや、彼がミチルに残した空の映像を知るヒカル。そしてヒカルは、リハビリ施設でマジックをしているミチルを見つける。

 第四話 スリー、ツー、ワン
ヒカルの母校で、美波の幽霊が出るという噂が流れているらしい。この世ではない別次元に行けるのだ、と自殺志願者も増えているのだとか。噂の元凶になっているのはロングラン公演が続いている舞台『マジック』と、ヒカルの元の職場≪ハーパーズ≫。ヒカルは≪ハーパーズ≫を訪ね、自分の高校の後輩がマジシャンとしてバイト勤めしていることを知る。…


 優しい文章を書くようになったよなぁ、瀬名さん。
 三題噺のようですね、ロボットとマジックと折り紙と。劇中に出てくる物語にしてもトールキンだのエンデだの、まぁツボをついてくること(笑)。そうそう、アニメ『電脳コイル』も連想しました。
 マジックは好きです。大仕掛けのものではなく、シンプルなテーブルマジックが。ただ、この作品に関する限り、映像がなかなか見えて来なくてですね、分からない所が結構ありました; これ、映像化してくれないかなぁ、数々のマジック、見てみたいなぁ。
 ケンイチくんの名前が出た所でおお、とちょっと感動しつつ。後継機種(?)がミチル(ミッチィ)というのは、やはり手塚治虫を意識してるのかしら、それは勘繰り過ぎかな。
 美波の消え方には、そりゃないわ、酷いわ、と思いましたね~。トラウマになるよ、これは。最後で救いになったのかな、でも現実世界で彼女は飛び降りてる訳だしなぁ。
 劇中劇ウィリアム・ゴールドマン著『マジック』は、読んでみたくなりました。