読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

PLUTO(プルートゥ) 全8巻 浦沢直樹X手塚治虫著 小学館

 手塚治虫鉄腕アトム』の1エピソード『地上最大のロボット』を浦沢直樹がリメイクしたもの。
 ネタばれあります、すみません;

 原作というか手塚治虫版は一応、読んだことがあります。朝日ソノラマ版で、小学生の時。だから記憶もかなり曖昧でして、王様に自分の身勝手さを自覚させるためだけに殺されたロボットたちが何より可哀想、という感想を持ったことだけを妙に覚えています。
 で、今回。
 …よくこれだけ膨らますよなぁ。4巻のあとがき(というより解説じゃないのか?)での西原理恵子さんの言葉「浦沢直樹は話がながすぎ」にこっそり笑ってしまいましたよ。でもこれだけ膨らませて最後まで辻褄が合う原作だった、ということは、元々がかなり理知的な構造の話だったんだな、とも改めて思いましたし。
 私は手塚治虫の熱狂的ファンではないですが、それでも他の方のあとがきにもあった通り、手塚治虫の他の作品へのオマージュを各所に見つけることができて嬉しかったです。ロビタというネーミングしかり、アトムが嘘をつくというエピソードしかり、白いライオンや“モグリの医者”しかり。口の中から大量のゴキ○リを吐き出すロボット、というのも、多分『火の鳥』のエピソードから来てるんでしょうね~。見たくなかったけど(苦笑;)。
 天馬博士の「アトムは失敗作だった」の台詞にもああ、と思いましたし。
 で、原作を読んでいたということは、アブラー博士の正体にも気がついてしかるべきだったのに、やっぱり驚いてしまいました。びっくりしてから、そう言えばそうだったねぇ、と思い出す始末。原作のたった二コマ(確か)をあんな風に脚色するんだ…!
 でもごめんなさい、ラスト近く、空に思い浮かべる7体のロボットの図に、「この演出は浦沢さんの絵には似合わないなぁ」とこっそり思ってしまいました。

 いやしかし、今さらながら。浦沢直樹、凄いなぁ。