読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

チーム・バチスタの栄光(上)(下) 海堂尊著 宝島社 2007年

 初出は2006年。
 海堂尊デビュー作。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品。

 東城大学医学部付属病院の“チーム・バチスタ”は心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科医チーム。ところがある例を境に、原因不明の連続術中死が発生する。高階病院長は、万年講師で不定愁訴外来、通称「愚痴外来」の田口医師に内部調査を依頼する。医療過誤死か殺人か。田口の聞き取り調査が始まった。
 バチスタ・チームの中心人物、アメリカ帰りの清廉・崇高な天才外科医、誇り高い鷹・桐生恭一助教授。内部調査の直接の依頼主でもあり、原因に思い当たる節はないと言う。
 悠然と構える第一助手・垣谷雄次講師は、変わったばかりの看護師とチームの相性が合わないと言い、
 血気盛んな第二助手・酒井利樹助手は、桐生への憧れそのままに垣谷の無能ぶりを非難し、
 ベテラン看護師・大友直美は、前任の看護師と代わってから起きた不祥事に苛まれ、
 臨床工学士・羽場貴之室長は、桐生の人格や手技を誉めたたえ、ペアを組む麻酔医・氷室の優秀さを証言、桐生の義弟・鳴海医師に言及し、麻酔科・氷室貢一郎講師は麻酔医の激務を吐露、垣谷・酒井医師を評価する。
 病理医・鳴海涼助教授は桐生を絶賛した上で、田口はスタッフによる殺人を疑っていると、本人も気付かなかった視点を指摘した。
 皆一様に言うのは、術中死の原因はなかった、見当もつかないということ。実際田口が立ち会った一例目の手術では何事もなく患者は回復した。だが二例目の手術で、とうとうまた術中死が起きる。異常さを感じ取った田口は自分の手には負えないと音をあげ、代わりにやって来たのが厚生労働省のお役人・白鳥圭輔。厚生労働省大臣官房秘書課付技官 医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長と言う肩書を持つ彼は、人を不愉快にさせる才能に恵まれていた。彼のとんでもない行動によって、関係者の別の顔が浮き出て来る。
 垣谷講師の思わぬ器の大きさ、酒井助手の熱血や劣等感、大友看護師の気の強さしたたかさ、羽場室長の怒りっぽい一面、氷室講師の論理的攻撃性。白鳥は桐生と鳴海の過去や秘密も暴いて見せる。だがそれは直接の原因ではない。犯人も方法も分かった、と言う白鳥。証拠固めで病院を留守にしている間に緊急手術が行われ、また患者の命が奪われる。白鳥は遺体をAIにかけるよう指示する。…

 映画にもドラマにもなったあまりにも有名な一作。書架に並んでいたので借りてみました。
 …うわ、読み易ッ!
 こんなにもすらすら読めるとは思ってもいませんでした。
 私はドラマは見ていないのですが、TVで放映された映画の方は見ていまして、ですから犯人から犯行方法から全部知っていた訳ですが、それでも面白かったです。ぐいぐい引っ張られました。専門用語ばりばりな筈なのに、何でこんなに分かり易いやら。いや~しかし、映画のあのキャスティングはどうよ(笑)。白鳥さん全然違う、ハンサムにしたら駄目だと思うけどな~(爆!)。
 TVとかにも出てらっしゃいますので、田口医師は作者ご本人に思えました。いくら女性にしたとしても、竹内結子さんはないな~。作中にあった「氷姫」がモデルだったのかなぁ。人の裏まで読み切った上での昼行燈ではなく、本当に天然な感じになってましたよね。原作ではもっとクレバーな印象でした。
 海堂さんご自身が主張されてるような、医師の過労働とか遺体解剖へのAI導入とかリスクマネジメントの問題点とか、この段階でもう組み込まれていたんですね。本当、盛りだくさん。
 しかしこれ、桐生医師と鳴海医師で腐女子回路刺激された人いるんじゃないかしら…;(←こらこら;)