短編集。
ひとんち
シュマシラ
出て来た遊園地の名称「宝塚ファミリーランド」に、作者関西出身だな、と妙に身近に感じた一冊(笑)。あら、懐かしいこと。
オチ自体は察しがつくものもあったのですが、ホラーの面白さはそこだけではないですよね、そうなんじゃないかな、そうだよね、そうっぽいよね、とじわじわ来る怖さ。そうかと思えばスプラッタな展開もあり。
作者の実力が分かる一冊でした。
学生時代、バイト先で知り合って友人になった三人。何年かぶりかで再会し、近況報告した。自分は彼氏と別れて今一人、幸せな結婚生活を送っているお嬢様もいればシングルマザーになった離婚経験者もいる。それぞれが自分や結婚相手の家の風習、習慣を語るうち…。
夢の行き先
小学五年の二学期、三日連続で同じ夢を見た。山姥のようなものに追いかけられる夢、どうやらそれはクラスメイトの間を席順に移動しているらしい。やがて、反対側からは「青い犬に襲われた夢」が廻ってきていることが分かった。ぶつかるのはクラスの真ん中、いじめっ子の宮尾君の席だ。
闇の花園
小学四年の飯降沙汰菜は夏でも黒尽くめのゴスロリ衣装を着ている。クラスメイトとの交流もなく、授業もまとも受けていない、給食もあまり口にしない。母親の悪い噂を聞き、臨時教員の吉富大介は家庭訪問に踏み切る。
ありふれた映像
スーパーマーケットに流れる販促ビデオ、そこに映っていたのは男の死体だった。何故そんなものが映っていたのか、自分のパート先でも販促ビデオを撮ると聞いて、「わたし」は嫌な気になった。それを撮る監督が、似たような名前であると聞いて尚更。
宮本くんの手シュマシラ
マイナーな食玩シリーズに凝っていた話から、「私」は柳と知り合った。UMAをモチーフにしたとある食玩の、「シュマシラ」のモデルを探しているという。社内の川勝さんというUMAマニアも巻き込んで、どうやら播磨国の妖怪に行き当たったが、やがて川勝さんが行方不明になってしまった。どうやら伝承を求めて地元の動物園を訪ねたらしい。
死神
事情で実家に帰省しなければならなくなった、一ヵ月だけ植物とペットの面倒を見て欲しい。友人に言われて、金魚が入っているという水槽と、カブトムシの幼虫、ハムスター、鉢植えを何種か預かった。やがて、ペットや鉢植えが順番に「殺されて」いく、しかも無惨な状況で。
じぶんち出て来た遊園地の名称「宝塚ファミリーランド」に、作者関西出身だな、と妙に身近に感じた一冊(笑)。あら、懐かしいこと。
オチ自体は察しがつくものもあったのですが、ホラーの面白さはそこだけではないですよね、そうなんじゃないかな、そうだよね、そうっぽいよね、とじわじわ来る怖さ。そうかと思えばスプラッタな展開もあり。
作者の実力が分かる一冊でした。