読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

狼と兎のゲーム 我孫子武丸著 講談社 2013年

 ネタばれあります、すみません;

 5年1組のクラスメイト、山上心澄望(こすも)は弟・甲斐亜(がいあ)と共に、父親・茂雄から暴行を受けている。夏休みのある日、藤沢智樹は心澄望の家で、茂雄が庭に穴を掘っているのを目撃してしまう。傍らには甲斐亜の死体、どうやら茂雄は甲斐亜を殺してしまったらしい。
 警察に通報しよう、智樹の親に言おう、それでなければ担任の大島杏奈先生に相談しよう。智樹の意見は、茂雄に怯える心澄望に全て否定される。せめて2年前に失踪した心澄望の母親に会いに行こう。一枚の葉書の住所を頼りに、二人は東京に向かう。
 苦労して訪ねた先に母親はおらず、住んでいたのは韓国人の女性。この葉書もその女性が書いたらしい。
 現場を見られた茂雄は、やっきになって二人を探す。警察官である立場を利用して智樹の母親に探りを入れ、大島杏奈先生の家に先回りする。東京へも追いかけ、間一髪二人と行き違う。
 もういない母親も頼れない。地元に戻って、いよいよ大島先生に相談することを決意する智樹たち。だが、先生の様子もおかしい。やがて、茂雄の手に二人は捕まってしまう。…


 あとがきに曰く、本当はミステリーランド用に考えていた作品なんだとか。あまりにもひどい話っぷりに、子供向けに書くのは諦めたそうで、…そう、嫌な話なんですよこれが。
 茂雄の暴力の振るいっぷり、自身でのその行為の肯定の仕方ってのがとにかくもう嫌悪感抱くような感じで。こんな人側にいたら絶対イヤ、絶対恐い。あまりの嫌さ加減に、先にラスト数ページをざっと読んでしまったほど。いや、主人公が無事であることを確認したくて。
 読み出したら止められない話ではあるんですけどね。ちゃんとどんでん返しや意外な真相もあって、ミステリーになってますし。いや、でも恐い話でした。