読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

アイネクライネナハトムジーク 伊坂幸太郎著 幻冬舎 2014年

 連作短編集、になるのかな。

 ここにヒーローはいない。さぁ、君の出番だ。
 明日が待ち遠しくなること間違いなし!
 ごく普通の人たちが巻き起こす、小さな奇跡の物語。     (帯文より)


アイネクライネ
 街頭アンケートで知り合った女の子は、トイ・ストーリーのバズのストラップを着けていた。それに気付いたのは、大学時代の友人夫婦の家でそのDVDを見かけたから。

ライトヘビー
 美容師の「わたし」に、客であり友人である板橋香澄は弟を紹介する、という。電話で時々話すだけのボーイフレンド。その関係は居心地良く、それ以上の展開はないかと思われた。でもその弟は、近々ある世界ヘビー級のボクシングの試合の勝敗に告白を賭けると言う。

 藤間は妻子と離婚寸前。理由は彼のいい加減な性格のため。自動車免許の更新も毎回ぎりぎりになってからなのだが、そこで必ず会う女性は、何故か彼の一歩先の家庭状況にある。

ルックスライク
 クラスのマドンナ・織田美緒と隣りの席になったために、男子の妬み嫉みを受け、腹立ち紛れにあらぬ噂を立てられる久留米和人。かえって安全パイと思われたのか、彼女から地下駐輪所のパトロールに誘われた。
 一方、ファミレスでのバイト中に客に絡まれた所を救われて、笹塚朱美は同じ大学の上級生と付き合い始める。

メイクアップ
 高校生の頃、いじめられていたクラスメイトに偶然再会した。自分は化粧品会社の社員、相手は広告代理店勤務で、彼女のクライアントに当たる。同僚の佳織はなんだかうきうきしている様子、彼女はあのころとは変わっているのだろうか。

ナハトムジー
 元世界ヘビー級のチャンピオン小野学が妻と共にTVに出て、当時を振り返る。…


 粗筋が書きにくい話だなぁ。一つ一つの話は、言ってしまえば何と言うことはない日常の出来事なので。軽妙な語り口で語られて、その中で色んなことが少しずつ重なっていく。登場人物だったり、出来事だったり言葉だったり、それが思わぬところでひょいっと顔を出すのが妙に心地いい。最後に口パクさせられたクラスメイトが出て来るとは思わなかった。時間軸までずらされるし。
 いや、面白かったです。読後感がどれも爽やかで。
 でも、この作品でも、浮気する旦那さんは出て来るのよね~。