読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

むすびつき 畠中恵著 新潮社 2018年

 『しゃばけ』シリーズ。連作短編集。

 昔会った人
広徳寺の寛朝和尚の元に収められた蒼玉は、付喪神になっていた。“若”に会いたい、と呟く蒼玉のために広徳寺に呼び出された若だんな。まるで覚えのない若だんなに代わり、貧乏神が語り始める。二百年前、まだ天下が国盗り合戦をしていた頃、自分を助けてくれた山村の若長のこと、彼の村を救うため北の大寺を訪れる旅に同行したこと。

 ひと月半
若だんなが箱根に湯治に行ってひと月半。長崎屋に三人の死神がやって来た。三人は三人とも、 若だんなは箱根で山崩れにあって死んだ、自分はその生まれかわりだという。三人は自分の正体を証明する為に、何故か化け合戦をすることに。

 むすびつき
鈴彦姫の鈴が納められている五坂神社が、資金難で苦しんでいる。鈴すら売り飛ばされてしまいそうな現状に、若だんなが立ち上がる。かつての神職 星ノ倉宮司が内職に使うために仕入れた金の在処がわからないままになっているという言葉を頼りに、金探しを始めた。星ノ倉宮司が幽霊として現れる騒動もある中、鈴彦姫はこっそり若だんなは星ノ倉宮司の生まれかわりではないかと思っていた。

 くわれる
長崎屋に悪鬼の二人連れがやって来た。三百年前に若だんなと夫婦になる約束をした、と女の悪鬼もみじは言い、男の悪鬼青刃はもみじの許婚なのだとか。たまたま長崎屋にいた栄吉はもみじに一目惚れした様子、ところがもみじは於りん共々人さらいに攫われてしまった。人さらいの命が危ない、と若だんなたちは奔走するが、人さらいの要求は栄吉の新作団子のレシピだと聞いて首を傾げる。

 こわいものなし
長屋に住む夕助は、妖や神様と出会い、生まれ変わりを信じて有頂天。結果、人助けに命を投げ出して死んでしまった。広徳寺で起きたことだったので、祭神の大物主神様が計らい、夕助は実際生まれ変わることに。だが若だんなが出会った夕助は、蝶々から鯉へ生まれ変わり、さらに菜の花、蟻、鳩に…。…


 テーマとしては、生まれ変わりってとこでしょうか。若だんなの魂の前歴が少し明かされた一冊。
 いつの時代の若だんなもモテモテだなぁ。いや、元々の性格がいいからなんですけど。
 結構シビアだったのは最終話『こわいものなし』。ひと一人死んだのに、お寺の皆さんの罪の意識が薄いような気がしてちょっと首を傾げたんですが、その後の夕助の生まれ変わりサイクルが何ともシビア(苦笑;)。やっぱり若だんな、特別なんだなぁ。
 『昔会った人』で出て来た蒼玉は、今で言うスターサファイアなんだろうか。当時カボションカットがあったとは思い難いんだけど、イメージそんな感じですよね。若だんな、お金持ちだよなぁ、と妙な所で感心してしまいました(笑)。