読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ちんぷんかん 畠中恵著 新潮社 2007年

 『しゃばけ』シリーズ第六弾。
 短編5編収録。

 『鬼と小鬼』:
 長崎屋のある通町一帯が火事に見舞われた。若だんなも煙に巻かれ、気が付いたら子供達と一緒に賽の河原で小石の塔を積む羽目に。しかしどうも若だんなと乃勢屋冬吉と名乗る少年だけは、河原まで来た道筋や影の濃さの違いから見て、まだ死に切ってはいない様子。若だんなは自分はともかく、一緒に付いて来てしまった鳴家や印籠のお獅子は現世に返してやりたいと道を探す。伊邪那岐伊邪那美の神話に倣って、懐にある物を投げて後を追いかけてくる鬼たちの気を逸らしながら。…
  …薬草がわさわさ生えて、っての可笑しいなぁ(笑)。冬吉くんは、後々また出てくるんでしょうか。

『ちんぷんかん』:
 広徳寺の僧秋英は師匠の寛朝に、客の相談に乗ってやれ、と言われた。客の名は阿波六右衛門、和算の教本に載っている挿絵の男が、娘おかのに色目を使うと言う。挿絵の男とよく似た長崎屋手代・松之助とおかのの仲を取り持ってくれと言う依頼を、自分には無理だと断った途端、秋英は本の中に取り込まれ、和算合戦を挑まれてしまう。
  …懐かしいなぁ、鶴亀算! もうすっかり忘れたけど(苦笑;)。

『男ぶり』:
 若だんなの両親の、馴れ初めが語られる一篇。
 水口屋の家に、奇妙な出来事が続いている。家のあちこちに卵が置かれているらしい。誰が何の目的で置いているのか調べてくれ、と甥の辰二郎が頼まれる。辰二郎に惚れていたおたえは、何とか辰二郎を手助けしてやろうとする。
  …こんなにおたえに惚れ抜いてた藤吉も、何だかんだで浮気するんだよなぁ。

『今昔』:
 長崎屋の新築開店祝いの最中、若だんなの顔に式神が張り付いた。操っていた陰陽師を見つけて殺してやる、と兄やたちは息巻いている。松之助の縁談相手・玉乃屋が雇っている陰陽師・七太夫が犯人らしいが、何故若だんなが襲われたのか判らない。玉乃屋の娘、病弱なおくらと姉思いのお咲はどう関係しているのか。
  …若だんなが狙われた理由としてはどうも薄いかなぁ。    
  紅白粉問屋のお雛ちゃんのその後がちらっと出てきたのが嬉しかったり。

『はるがいくよ』:
 松之助の縁談が決まった。栄吉も他の菓子屋に修行に行くらしい。
 桜の古木が挨拶に寄越した「花びら」小紅は、とんでもない勢いで成長し、花の盛りが過ぎたら姿を消すと言う。若だんなは何とか小紅を引きとめようとするが、その様子は兄やたちの思う所も引き出してしまった。…

 広徳寺の寛朝、再登場。いずれ出てくると思ってました!(笑) 今回出てきた陰陽師・七太夫もまた出てきそうな雰囲気ですね。
 若だんなの周囲から、どんどん人が減っていく様子。何か寂しいなぁ。作者さん、もしかして整理に入ってる? シリーズ終わるかも、って覚悟しておいた方がいいのかもなぁ。