読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

リーチ先生 原田マハ著 集英社 2016年

 1954年、イギリス人陶芸家バーナード・リーチが大分の焼き物の里・小鹿田を訪れる。その世話係を命ぜられた高市は、亡父・亀乃介がかつてリーチに師事していたことを知らされる。
 時は遡り1909年。横浜の洋食屋で働きながら芸術の世界に憧れを抱いていた亀乃介は、日本の美を学び、西洋と東洋の架け橋になろうと単身渡航した青年リーチと出会う。その人柄に魅せられた亀乃介は助手となり、彼の志をひたむきに支えていく。
 柳宗悦武者小路実篤白樺派の面々や、のちに陶芸家として偉大な足跡を残す富本憲吉、濱田庄司河井寛次郎らと熱い友情を交わし、陶芸の才能を開花させていくリーチ。
やがて彼はさらなる成長を求めて、亀乃介や濱田を伴い帰国。イギリスの西端、セント・アイヴスに工房を開く。敬愛する「リーチ先生」の傍らで陶芸を究め続けたい。その想いを胸に遠い異国の地で懸命に働く亀乃介だったが、別れの時が訪れて――。
 著者渾身のアート小説、誕生!                       (出版社HPより)


 新聞連載時、母が何だか熱心に読んでいたのが印象的だったので、借りてみました。
 まぁ、『なんでも鑑定団』に出て来るビッグネームが次から次へと登場(←私の教養はこの程度;)。当時、文壇でも美術でも、居場所としての世界は狭かったんでしょうか。それとも「黄金世代」みたいな感じで、才能はその時期に集まるものなんだろうか。
 リーチ先生と亀乃介の関係が、本当に理想的で。初期、二人の関係が、アニメ『ユーリ!!! on Ice』のヴィクトルと勇利に重なって見えたことは内緒です。…毒されてるなぁ;;
 二人の年齢差は、そんなにも大きくはなかった筈なんですが、あくまでもリーチは「先生」、亀乃介は「カメちゃん」。先生の手伝い以上のものを望まない亀乃介に、最初に「それではいけない」と諭すのは、亀乃介に陶芸の楽しさ、素晴らしさを教わったシンシアで、でもシンシアは結局、リーチ・ポタリ―に一生を捧げる。…何だか寂しいなぁ、それはそれでいい人見つければよかったのに。亀乃介には子供までいるんだから。
 登場人物がみんなとにかくいい人で、好きな物に一直線に打ち込む熱意が羨ましい限り。亀乃介が無名のままで終わってしまったのはちょっと悲しかったなぁ。
 何か、色々知らないことを教えて貰いました。