読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

決起! コロヨシ!!2 三崎亜記著 角川書店 2012年

 『コロヨシ!!』続編。
 ネタばれになってるかな、すみません;

 藤代樹はスポーツ「掃除」の全国大会で男子第三位の成績を収め、高校三年生で掃除部の主将となった。マイナー競技であった「掃除」への注目度が上がり、入部希望者も殺到。順風満帆な一年が始まるかと思われたのだが、校長の差し金で部費が半減、部室も奪われる。さらに、女子個人の部で全国大会優勝した後輩・高倉偲と指導者・寺西顧問が樹の前から姿を消してしまった。
 代わりに就任した新顧問・牧田先生と喜多瀬コーチ、その尻馬に乗った後藤に、毎回の動作をブレをなくす「シンクロ率を上げる」訓練を課せられる樹。新一年生、垂楊拳の使い手・悠馬と対戦ゲームにハマる鳴海の協力の元、課題をクリアしてみせる。
 夏休み、梨奈が居留地で誘拐されたとの連絡を受けて、居留地に入る樹。樹は星回りが悪く居留地へは入れない筈だったが、その運命を変えるため、居留地のスラムにあたる南玉壁で「掃除」の試合をすることに。一旦は逃げ出した樹だったが、寺西顧問に誘導され、前大会優勝者の大介と出会って共に舞い、高倉偲と再会し、居留地での優勝者「空」に勝って、梨奈の救出に向かう。強化誘引剤で自分の意識を失った梨奈を、偲と共に舞うことで元の梨奈として取り戻す。
 敵対していた池田管理官に「対」のさわりを教わり、もうひとつの国技候補「相撲」との確執を知る樹。新入生のニノと共に自在他、他在自の心境をスクランブル交差点の特訓で得る。大介の協力も得て、西域に「掃除」の「対」の神髄があると知り、冬休みに福引の賞品を利用して、大介、梨奈と偲と共に西域へ旅立つ。
 折悪しく西域は西州への抗議活動が盛んになったばかり、自由に散策できる状況ではない。偶然出会った牧田先生と連れ立って、何とか掃除の宗主に会い、「対」の奥義を伝授される。「対」とは舞うことで「くつがえし」を起こす、つまり人の記憶をも操作する技だった。
 年明けの大会、順調に勝ち進む樹と偲。いよいよ全国大会、という段になって偲が寺西顧問に攫われた。寺西顧問は新国技決定に際し、相撲側について掃除と対決することを望んだらしい。場所は居留地、対戦相手は樹。樹はルールもよく分からないまま、寺西顧問と闘う。だが実は、寺西が動いていたのは樹の祖父のためだった。
 祖父の意志に基づいて、大介と空は他国の首脳の前で「くつがえし」と舞うつもりらしい。樹と偲は、居留地の統率者の一人・水玉様や両親の力添えを得て、首都へ向かう。二人は大介と空の前で、「くつがえし」を無効にする舞、記憶に甦ったばかりの「決起」を舞う。…


 三崎さんの作品にしては予約者数が少ない感じがしたこの作品。…何だか前作『コロヨシ!!』の評価が分かるような…; とかいいながら私も、「掃除」という競技以外のことをほとんど忘れてたんですけどね、「面白かった」という印象ばかりが強烈に残ってて。特に登場人物は壊滅状態、どうしてだろう、あれだけキャラ立ってると言うのに(苦笑;)。
 それでも前作からの伏線がかなり引いてあったのは分かりました。三崎さんの頭の中では最初からここまで作ってあったんだろうな、と察しはつくんですが、でもね~。…ごめんなさい、私、ただのスポ根小説として読みたかった;
 「掃除」と言うスポーツが、記憶を左右するとか国家に利用されるとかおおごとになっていくのを、「あれ~、ここまでスケール大きなこと求めてないのになぁ」とちょっと寂しく思ったり。和食を期待してたのに出てきたのが中華料理のフルコースで、勿論美味しくない訳ではないんだけど、食べたかった物ではないんだ~、みたいな感じですかね。
 私は「掃除」が大好きなので、ただの競技として楽しみたかったなぁ。
 いや、勿論面白かったんですけどね。