読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

小説 君の名は。 新海誠著 角川文庫 2016年

 映画『君の名は。』原作小説。
 ネタばれになってる気がします、すみません;

 山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。
 出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。
 長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。     (裏表紙紹介文より)


 予約した当初は確か順番が6番目でした。蔵書も一冊しかなくて、「これは随分回ってくるのに時間かかりそうだなぁ」と思ってたら、映画のヒットに伴ってあれよあれよ、人気図書に。今では予約者100人以上ですよ、蔵書も4冊に増えました。(…でも4冊;)
 映画の補完、という感じかな。主人公二人の視点から描かれています。二人の心情が細かく書かれている分、周囲の人の描写がどうしても抜けてしまって、例えばテッシーこと勅使河原くんがどうして爆薬に詳しかったのかとかは、この小説だけでは分からなかったんじゃないかな。
 でも、映画を1回見ただけでは気づかなかった記述も多々ありました。防災無線放送って、そういえば冒頭にも出てきてたんだなとか、三葉のパジャマのガードが固くなってるとか(パジャマが変わってるなとは思ったんだけど、そういう意図があったのには気付かなかった)、三葉たちの舞が彗星を表しているとか、三葉が実はお金にうるさいとか。
 ばあちゃんの話に日本昔話を連想する瀧、それでばあちゃんの配役は市原悦子さんだったのか!(笑)。
 映画での描写で、入れ替わりではない現実世界なのに、犠牲者名簿で実際に見た三葉の名前を忘れてしまう瀧に違和感があったのですが、そうか、過去が変わった時点で犠牲者名簿も何も存在しない世界になったんだから、記憶がなくなっても当然と言えば当然なんだな。

 あと、作者(というか監督)には、景色が本当にあんな風に見えているんだ、ということに少々感動しました。
 田舎の緑滴る風景描写だけではなく、都会のビルの高層群をあんなにも美しく捉えられる感性。三葉にはまさしくあんな風に映っていたのでしょうが。羨ましい。