読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

コバルト文庫で辿る少女小説変遷史 嵯峨景子著 彩流社 2016年

 常に少女たちの「居場所」となり、「読者」と共に歩み続ける「Cobalt」/コバルト文庫
 そんな「コバルト」を追うからこそ見える少女小説史!
 雑誌「Cobalt」の前身である『小説ジュニア』から、Web マガジンCobaltまでの時代を追い、各時代の読者と「少女小説」の移り変わりを徹底追跡。
 学校読書調査や雑誌の読者投稿なども引用し、時代のリアルな空気も読み取れます。
 80年代のコバルト読者からライトノベル世代の中高生まで、幅広い世代に楽しんでもらえる一冊です。

【目次】
第1章 『小説ジュニア』から『Cobalt』へ
1 少女小説前史――戦前期から戦後概略
2 一九六〇年代のジュニア小説とその書き手たち
3 氷室冴子の登場と若手作家たちの活躍
4 『小説ジュニア』から『Cobalt』への転換
第2章 一九八〇年代と少女小説ブーム
1 『Cobalt』とコバルト文庫にみる少女小説家プロモーション
2 講談社X文庫ティーンズハートの創刊と読者層の拡張
3 拡大する少女小説マーケット
4 学園ラブコメからファンタジーコバルト文庫の新たな世代の書き手たち
第3章 ファンタジーの隆盛と多様化する九〇年代
1 ファンタジー小説の流行
2 少女小説レーベルのなかのBL
3 九〇年代の世相と少女小説の動向
4 九〇年代的コバルト読者共同体
第4章 二〇〇〇年代半ばまでの少女小説
1 角川ビーンズ文庫の創刊とその躍進
2 『マリア様がみてる』と『伯爵と妖精ゼロ年代前半のコバルト文庫とヒット作
3 少女小説における学園小説の衰退と読者層の変化
第5章 2006年から現在までの少女小説
1 二〇〇六年前後の少女小説レーベルの再編成
2 少女小説ジャンルのなかの「姫嫁」作品の増加
3 ネット発コンテンツと少女小説 ボカロ小説とウェブ小説の動向
4 ライト文芸少女小説
5 少女小説の未来へ

付録
「コバルト」と各レーベル刊行時期の比較
コバルト50年史
コバルト・ノベル大賞受賞者一覧                         (出版社HPより)

 書架に並んでいるのを見て、思わず借りてしまった一冊。何しろ氷室冴子ど真ん中な世代なもので(笑)。
 今回この本読んで、その前の世代に当たる吉田としの作品も、私中学生の頃読んでたんだ、ということに気が付きました。学校の図書館にあったんですよ、女の子の名前が題名になってるシリーズが。
 いや、楽しかった。私は講談社X文庫は、レーベルが出来た頃に高校卒業しているくらい、という年代なので、ほぼ読んでいません。一気にホワイトハート十二国記くらいまで飛ぶので、その間の知識を仕入れられたことも嬉しかった。そうか、そんなに人気あったのかぁ。
 でもX文庫は読んでなくても、コバルトはそこそこ読んでたんだよなぁ。若木未生桑原水菜、読んでました! どちらも途中で挫折したままだなあ、若木未生さんは作品自体の続きが出なくて読んでないし、桑原さんの『炎の蜃気楼(ミラージュ)』は、闇戦国の続きが知りたいのに他の方面の描写ばかりがメインになって、お話が進まなくなっちゃったからだし。で、「完結した」という噂を聞いても、今イチ手に取る気にならないんだよなぁ。新井素子著『ブラックキャット』は読んだのに。前田珠子さんは、読んでないんですが、表紙がおおや和美さんのイラストだったことを強く覚えてます。同人誌で活躍されていた方のメジャーデビュー、みたいな感じで。
 で、この本、多分各時代の代表作のガイドブックみたいになってる。ここで紹介されている本を読んでおけば間違いない、って思わせるような。「姫嫁」って何、「いちゃラブ」なんて知らない、とにかく読んでみよう、と思いましたよ(笑)。「ボカロ小説」も知らなかったなぁ。
 BLや漫画にも多少触れられてはいますが、あくまで傍証。でもこれらが少女小説の変遷に影響を及ぼしていない筈がなく(何しろどれも「こんな作品が売れる!」となったら、だ――――っ!とそちらになだれ込んでいく傾向の強いジャンルなので。何か豪華客船だらけだなぁとかアラブの大富豪ばかりだなぁとか)、ただそこまで対象を広げてしまうと、また別の一冊の本になるんだろうなぁ。
 とりあえず、今野緒雪さんの初期作品は読もう、と思いました。そうだよ、『マリみて』のあまりの面白さに、「この人絶対話作り上手い」と確信、当時は別作品も読むつもりだったんだよ。
 あえて言うならば、最後に索引が欲しかったなぁ。こういう本には大概、この作家の名前は何ページに出てる、みたいな索引が付いてる気がするんですが、この著作にはなかったので。