読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

太陽と乙女 森見登美彦著 新潮社 2017年

 デビューから14年、全エッセイを網羅した決定版!

 登美彦氏はかくもぐるぐるし続けてきた!
 影響を受けた本・映画から、京都や奈良のお気に入りスポット、まさかの富士登山体験談、小説の創作裏話まで、大ボリュームの全90篇。台湾の雑誌で連載された「空転小説家」や、門外不出(!?)の秘蔵日記を公開した特別書下ろしも収録。寝る前のお供にも最適な、ファン必携の一冊。
                                              (紹介文より)

 「生半可な読書家が最も読書に耽るところといえば、電車の中である。」――深く頷いたわ。『読書芸人』さんなんかを見てると、私は読書家ではないなぁ、とつくづく思うもの。
 森見さんのエッセイは、適度に気分が抜けていてほわほわと楽しい。メンタル面で結構追い詰められていらっしゃった時期もあったようなのに、何故か切羽詰まった感があまりない。…いや、これは一応収まりが着いてから書かれた文章だからなのかな。でも総じて、とにかく可愛い。曾祖母さんの赤玉ポートワインのエピソードなんて、何と微笑ましい、『有頂天家族』のお祖母様に通じる可愛さですね。
 で、同じ関西出身者だなぁと思ったのは日曜日昼、延々繰り返される『ルパン三世』の再放送についてのエッセイを読んだ時。いや、私は『スペースコブラ』も『YAWARA!』も『シティハンター』も楽しく見てましたけどね(笑)。で、4チャンネルでは『じゃりン子チエ』が延々繰り返されるという…。
 各作品の裏話や後日談があったのも嬉しかったです。ジブリ映画『千と千尋の神隠し』等々の感想も興味深く読みました。岡田斗司夫さんの宮崎駿評を読んだばかりだった、というのもあって、お二人結構共通した視点があるな、と思ったり。
 ファンタジーノベル大賞受賞時の日記も公開されてるんですが、これ本当に誰に見せる気もなく書いた文章なのかなぁ?? 「和歌山にいる弟から」なんて、自分は承知してることなんだから、わざわざ書かないと思うんだけど。それともやっぱり、小説家になる人は文章への感度が違うのかな。
 で、ちょこちょこ登場する奥さま、いかにも仲よさそうで微笑ましかったです。