読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

キャロリング 有川浩著 幻冬舎 2014年

 大和俊介の勤める子供服メーカー『エンジェル・メーカー』が、倒産することになった。同時に近所の子供たちを預かっていた学童保育もクリスマスで閉めることに。そこに通っている一人小学6年生の田所航平は、両親の離婚がほぼ確定していた。
 両親を和解させたい航平は、父親のいる横浜までついて来てほしい、とスタッフの一人・折原柊子にねだる。柊子はかつて、俊介の恋人だった。
 俊介の父親には暴力癖があり、母親はそれに苦しめられながらも離れられず、結局息子を全ての元凶に仕立てて父親の側に着いた。両親との関係を修復する気もない俊介が理解できず、柊子は俊介と結婚寸前まで行きながら別れた過去を持つ。彼女にとって航平の願いをきくことは、俊介への罪滅ぼしにも似た感情を与えた。
 航平の父親・祐二の勤め先の整骨院に行く二人。だが祐二は整骨院の女医にのぼせあがっており、航平の目から見ても、妻を忘れて浮かれている状態。祖父の借金に追われている女医を助けるのだ、と息まいている。やがて、その借金騒ぎが航平や俊介も巻き込んで行く。…


 NHKでドラマ化、演劇集団キャラメルボックスで舞台化もされた一作なんだそうで。
 これは元々、映像化を意識して書かれた作品なんだろうか。本当、いかにもキャラメルボックスで演じられそうな展開なんだよなぁ。速いテンポとか、「あと何日」って構成とか、借金取りを描きながら風俗関係まで行かない甘さとか、悪役が良心によって自滅していく、言ってしまえばご都合主義な所とか。音楽や照明まで思い浮かぶ感じ。
 柊子の俊介の思いを尊重しない感じとか、やっぱり若さゆえかしら。それにしても俊介、ちゃんと説明しないと、とか思ってたら社長からの柊子への一言「あなたの耳と心を汚したくなかった」。これはキましたねぇ~。
 するする読めた一作でした。