読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

タイタニア 1 疾風篇 田中芳樹著 徳間書店 1988年

 星歴一年、銀河系では「星間都市連盟」が成立し、各都市は都市艦隊を所有するいっぽう商館を置いて市民の経済活動を保護していた。
 その間、連盟(リーグ)の最大の敵対勢力はヴァルダナ帝国であった。両者はしばしば戦火をまじえ勝敗がくりかえされたが、連盟の優位はゆるがなかった。だが、星歴228年一つの破局が生じた。タイタニアと呼ばれる一族が離脱し、ヴァルダナ帝国に寝返ったのだ。そして翌年、「ブラウンワルト星域の会戦」の火蓋が切られた。連盟は完敗し、末永く続くと思われた「連盟の時代」に黒い影を落とした。
 そして星歴446年。ケルベロス星域において、片田舎の地方都市エウリヤの艦隊がタイタニアの四卿の一画アリアバート・タイタニアの大艦隊を破るという事態が起きた。威力はあるが一回しか使えないワイゲルト砲を、旗艦ごと使い捨てにするという奇策を考えたのは若き英雄ファン・ヒューリック提督。だが彼は市長から「何故勝った」との叱責を受け、早々に惑星を追われてしまう。
 惑星エーメンタールに逃げ込んだが、そこにはファン・ヒューリックを勧誘しようとアルセス・タイタニアが待ちかまえていた。だが一族の真意をしっかり把握していなかったアルセスは、ファン・ヒューリックの反抗心を無駄に煽って、彼を捕まえ損ねてしまうことに。
 商船「正直じいさん」号でカサビアンカ公国ミランダ元公女と共にエーメンタールを出るファン・ヒューリック。彼の耳に飛び込んできたのは、彼を逃がしてくれた少女リラ・フローレンツの訃報だった。ファン・ヒューリックはタイタニア一族への復讐を誓い、まずタイタニアの本拠地である人工都市・天の城(ウラニボルグ)に逃げこもうとしたアルセスを宇宙の塵と化す。…
                                        (前半、表紙折り返しの紹介文を写しました)  
                       

 2月頭、本屋に行って吃驚しました。
 「『タイタニア』の最終巻が出てる…!」
 いや、あんまり驚いて、友人にメール出しまくったほどですよ。田中さん、完結させる気あったんだ…!!(←失礼;)
 という訳で久しぶり、1巻を読み返すことに。だってすっかり忘れてますから。(←こらこら;)
 うん、私、やっぱり田中さんの文章好きだわ。というか、「呼吸が秩序を乱しはじめたころ」とか「上官に対する敬意など1グラムもなく」とか、田中さんのけれん味たっぷりの表現は、こういうスペースオペラ的な作品でこそ映えると思う。歴史物やファンタジーなんかの地上ものではやっぱり効果半減してる気がするんだよなぁ。
 ある年齢の男性にとって、どうやら「田中芳樹」は特別な作家さんらしく、「『ガンダム』に乗りたくて」声優になった人がいるように、「いつか『田中芳樹作品に出たいと思っていました」と語る声優さんも多々いる様子。そう言えばアニメ『七都市物語』の試写会でも、山口勝平さんが「こんなのに出たいですよね~」って話してらっしゃいましたっけ。でも今回読んで思いました。田中さんの作品って、この文章あってこそだわ。…とか言いながら、『アルスラーン戦記』のアニメも楽しみにしてるんですけど。
 さて、ファン・ヒューリックはタイタニアに反旗を翻しました。次巻に続きます。