読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

あやかし飴屋の神隠し 紅玉いづき著 角川メディアワークス文庫 2014年

 いかなるものも“視えないものはない”青年・叶義(かなぎ)と“つくれないものはない”腕を持つ飴細工職人・牡丹。二人が営む飴細工屋台を訪れる人々を描いた連作短編集。
 ネタばれあります、すみません;

第一話 赤錆
 恋人にプロポーズされた夜、成深は飴細工職人の牡丹と出会った。美容師の自分の荒れた手に、彼の指輪をはめることを躊躇う成深。彼女の指の、錆びたような色合いの痣に、叶義は目を留める。叶義の言うまま牡丹が作った飴細工を貰った成深は、翌日、激痛に見舞われた。

第二話 運種
 神社の賽銭箱に、この頃お菓子が入れられている。神主の道理に頼まれた犯人探しは、あっさりとカタがついた。金髪で言葉使いの荒い女子高生・蜜香は、自分の運の悪さが何とかならないかと、お菓子持参でお参りしていたらしい。次のブレイクダンスの大会も地元の不良に目をつけられてまともに参加できそうもない、との言葉に、叶義は牡丹に、金鳳花に似た花の飴細工を作らせる。

第三話 醜美
 ダンス大会で優勝した蜜香の取材で、飴細工屋もTVに映ることに。それを見て、牡丹の元のパトローネ・清子が神社を訪ねてきた。牡丹の作品に惚れ込んだあまり、彼を殺そうとする清子。息子さえ芸術のために見殺しにした清子に、叶義はあやかしの姿を見る。

第四話 狐繰
 二十年振りに開かれる夜行祭。前回の祭で叶義は神隠しにあい、以来母親を始めとした人との付き合いで後悔ばかりしている。もう一度、あの夜からやりなおしたい。妖怪・狐繰(こっくり)に再び会いたい。叶義は牡丹を連れて、夜行祭に出店する。…


 この作者、時代小説も書けそうだなぁ。
 あとがきによると、「男の子」を主人公に据えて書いた初めての作品だそうで。
 連想したのは恒川光太郎作品。雰囲気が軽かったら、森見登美彦さんとも繋がりそう。牡丹が作る飴細工が、ちゃんと見えて来るのが凄い。シリーズ化するのかな、一応決着はついた感じだけど。
 ただ表紙がね、実はあまり好みじゃなくてですね;; このまま続くのかなぁ、う~ん;