読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

菩提樹荘の殺人 有栖川有栖著 文藝春秋 2013年

 社会人アリスシリーズ。

アポロンのナイフ
 東京都下の高校二年生が通り魔殺人を犯し、逃走中だと言う。未成年なので氏名や顔写真が公表されない代わり、その類まれな美貌から<アポロン>と通り名までついてしまったとか。折しも大阪八尾市で女子高生の、続けてその元彼である男子同級生の死体が見つかった。<アポロン>は大阪でも凶行に及んだのか。

雛人形を笑え
 若手漫才コンビ雛人形のメビナこと矢園歌穂が自宅で殺された。容疑者は相方の帯名、マネージャー、帯名の元相方の小坂ミノリと歌穂の元相方の伊場裕伸。漸く人気がでてきた漫才師が殺された理由とは、死体がとっていた奇妙なポーズはダイイングメッセージなのか。

探偵、青の時代
 火村が大学生だった頃。飲み会に遅れて来た火村に、一同は一つの隠しごとをする。会場への到着順を誤魔化し、途中の接触事故を無い物としようとした級友の嘘を、見事に看破してみせた火村。有栖川は、偶然出会った同窓生からそのエピソードを聞く。

菩提樹荘の殺人
 芦屋にある別荘・菩提樹荘で、タレントの桜沢友一郎が撲殺された。池の畔で半裸で発見された被害者は、若く見える外見を武器に、女性関係も盛んだったらしい。別れ話を持ち出されていた長束多鶴、反対に別れ話を持ち出していた神戸のお嬢様北澄萌衣、マネージャー役の姉・亜紗子はそれにあまりいい顔をしておらず、秘書の鬼怒川も多弁に被害者との雇用関係について喋った。やがて、池の中から模造拳銃や鍵の束、恋人からの手紙等の入った鞄が見つかる。これらの証拠物件は事件と関係あるのか。…


 馴染みの地名がばんばん出て来るのが妙に嬉しいシリーズ。特に『菩提樹荘の殺人』の被害現場やアリバイ証言で出てきた地名が地元に近かったりしたので、「ああ、この時間内なら確かに移動できるなぁ」と実感を持って読めました。いや、謎ときには関係ないんですけどね。
 そうそう、香川登枝緒さんの名前を知ってるから熱心な笑芸ファン、と言うのもちょっと驚きました。…私、熱心なファンだったのか…。好きなだけだと思ってた。これからは私も「笑芸」って使おうか(笑)。
 火村とアリスの掛けあい漫才も楽しめる一冊でした。