読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

屍人荘の殺人 今村昌弘著 東京創元社 2017年

 第27回鮎川哲也賞受賞作。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、何故か大量のゾンビに周囲を囲まれ、何人かの仲間も失って紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。緊張と混乱の一夜が明け―。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見された。恋人を前日亡くして悲嘆に暮れていた彼は、ゾンビに顔まで喰われていた。部屋には『いただきます』『ごちそうさま』のメッセージ、つまり死因はゾンビでも、殺したのは知性を持った人間ということになる。
 翌日の夜にはもう一人がエレベーターの中で、やはりゾンビに襲われていた。ゾンビが密集する一階に、被害者を拘束して送り込んだ人間がいる。各階の扉が着々と突破されていく中、殺害現場は二階から三階へ、部屋に閉じこもっていた男もどうやら殺されたらしく目を抑えて倒れている。
 生き残りをかけたこの状況で、それでも犯された連続殺人。葉村をワトソン役に望む比留子は、この謎を解き明かす。… (紹介文に付け足しました)

 色々話題になっていた一作。
 一見関係なさそうな人物が出て来ての会話、何だかとあるものを連想させるんだけどまさかなぁ、と思ってたら、本当に「とあるもの」で驚きました。…ゾンビ(爆!)。こんな形の密室があるとはねぇ…!
 面白かったです。コメディが入ったライトミステリかと思いきや(「異人館やグラバー邸という単語にも反応する、って件には思わず吹き出しました)、ちゃんと本格。登場人物が増えてきたな、と思ったら名前の覚え方まで提示してくれる親切設計。第一の殺人の顛末には成程、と納得しましたし。第二の方は、手順大変そうだなぁと思いましたが。…いや、ただそもそもあんな状況になったら、みんな一か所に集まらないかなぁという疑問がどうしても根本にありますけど(笑)。
 そうそう、葉村が何度か口にする「震災」が、東北と見せかけて阪神だったりするのかしら、と勘繰ったりもしましたが、それは考えすぎでしたね。でも彼の価値観の根幹に関わる伏線でしたし。
 何か、時代変わったなぁとしみじみ感じてしまいましたよ(苦笑;)。