読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

カナダ金貨の謎 有栖川有栖著 講談社ノベルス 2019年

社会人アリスシリーズ、連作短編集。

 船長が死んだ夜
免停をくらった火村准教授のアシとして、有栖川有栖兵庫県の山間部へ、フィールドワークのお供をすることに。折も折、養父市で刺殺事件が起きた。被害者は40年近くぶりに地元に戻って来た海の男、彼に好意を寄せる女性が二人いたらしい。現場の自宅近くの防犯カメラには、ブルーシートをかぶって自身の姿を隠す犯人が映っている。火村は、壁に貼ってあったポスターが剥がされ、裏庭で燃やされていたことに疑問を抱く。

 エア・キャット
マジックバーでカードマジックを体験した帰り。先輩ミステリ作家 朝井小夜子に、アリスはとある殺人事件を語る。その被害者は愛猫を亡くして以来、エア・キャットを飼っていた。生前の行動の手掛かりは、本棚にあった夏目漱石三四郎』に挟まれた伝票。何故か火村の部屋には、「三四郎」と書かれたメモがあった。まるで予言するかのように。

 カナダ金貨の謎
先輩と組んで犯した犯罪、振り込め詐欺の被害者は「俺」の恩人だった。逆恨みにも似た感情で、先輩を殺した「俺」。時間をかけてアリバイ工作するつもりだったのに、先輩と同棲中の彼女が早々に帰ってきてしまった。しかも伝手を辿って、妙な臨床犯罪学者に調査を依頼してしまう。先輩がいつもつけているカナダ金貨のペンダントがないことを気に掛けている様子、果たしてその理由は。

 あるトリックの蹉跌
創作ノートをめくっていて、アリスは火村との出会いを思い出す。火村に応募作品のトリックを見破られた大学時代を。

 トロッコの行方
人気のない歩道橋にて、女性が階段から突き落とされて死亡した。ネイリストの彼女は自分の店を出すための資金をとある男に無心し、そのために男は恩人の娘に借金返済を求めたとのこと。足の悪い彼女は歩道橋の階段を素早く動けない。しかも、彼女には友人といたというアリバイがあるという。…

 安定の社会人アリスシリーズ。『船長が死んだ夜』はアンソロジーで読んだことありましたね、でも細かいとこ忘れてましたけど;(←おい;)
 『エア・キャット』の火村の、何と可愛らしいこと!!(笑)。真相に気付かれた後、火村はどんな顔していたのやら(笑)。
 で、有栖川さんの文章はチャーミングだなぁ、と改めて思ったのでしたよ。