読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

狩人の悪夢 有栖川有栖著 角川書店 2017年

 社会人アリスシリーズ。長編。
 ネタばれというか、粗筋書いてます、すみません;

 白布施正都、ハリウッドで映画化も決まった人気ホラー作家。<日本のスティーブン・キング>とも称され、代表作は『ナイトメア・ライジング』シリーズ、略して『ナイライ』。アリスとは対談を切っ掛けに知り合った。「必ず悪夢見る部屋がある」との言葉で誘われ、アリスは白布施の家「夢守荘」に一泊することになる。場所は京都の亀岡、かなり都会から離れている。白布施の担当編集者・江沢鳩子と共に夢守荘を訪れた翌日、夢守荘の近所の「獏ハウス」で右手首のない女性の死体が見つかった。
 「獏ハウス」はかつて白布施のアシスタントをしていた青年・渡瀬信也が住んでいた家。二年前、心筋梗塞で亡くなっている。以来、空き家になっていたのに、一昨日、渡瀬の古い知り合いだという女性が訪ねて来て、その家で一夜を過ごしていたという。殺されていたのはその女性・沖田依子だった。
 沖田依子はストーカー被害にあっていたらしく、当初その相手が犯人ではないかと目された。だがその男の死体も、近くの空き家から見つかってしまう。左手首のない状態で。
 前夜の落雷で倒木があり、道が塞がっておたことから、容疑者は6人に絞られた。オーベルジュのオーナー夫妻 光石燎平・静世、その姪の由未。オーベルジュに泊まっていた客、ゲームクリエイターの弓削与一と夢遊病患者のイラストレーター矢作萌、そして白布施正都。
 渡瀬信也の不幸な過去も明らかになる。渡瀬と沖田とのメールのやり取りが古い携帯電話から見つかった。沖田が渡瀬の家で、何か探し物をしていたようだという証言も集まる。数々の状況を前に、火村准教授は呟く。「…ひどく散らかっている」
 
 
 読むのにえらく時間がかかりました。そうそう、そういえば一つ一つ可能性を潰していく、こういう理詰めな展開だったんだよなぁ。
 昨年放送されたドラマの作りが、何だかえらく火村とアリスの関係を煽っているような、思わせぶりな様相で(私の思い過ごしかしら)、そのせいか二人の関係がえらく近しく感じました。この二人、こんなにも友情たっぷりだったっけ。「懐に潜り込んでみた」なんて表現、勿論比喩表現なんですが、ちょっとどきっとしてしまう(苦笑;)。
 悪夢を見てうなされる火村を、アリスは見て見ぬふりをしていたような記憶があるんですが、こんなに踏み込んでいたかなぁ。梟の真似をするアリスには、やっぱりちょっとじーんと来てしまいました。
 あとがきにあった「第三者から見たアリス」ってのは、是非一度見てみたい、と思いました。