読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

昔のきものに教えられたこと 石川あき 草思社 2006年

 もっともきものが美しかったのは腕のいい職人、目利きの呉服屋の番頭が数多くいた大正から昭和にかけての関西だといわれる。
 昭和のはじめに関西の旧家に生まれ、そうした美しいきものを着て育ち、やがてきもの研究家となった著者が、その生い立ちを振り返りつつ、豊富な実例をあげて語る体験的きもの読本。
 巻末に樹木希林さんとの対談を収録。 
                                        (表紙見返しの紹介文より)

 返却の棚にあったので、何となく手に取った一冊。失礼ながら著者も全然存じ上げない方で、でも何となく面白そうだったので。
 馴染みのない言葉が結構出て来て、読んでいる頁と巻末のきもの用語ミニ解説の頁とを行ったり来たり、見比べながら読みました。それでもぴんと来ない言葉もあって、「友禅する」ってのは手描きする、ってことでいいのかな?;
 著者の実家は代々藩の御典医を務めた医師の家系なんだそうで、まぁ書かれているエピソードも贅沢なこと。自分できものの柄をデザインして職人さんに描いて貰って刺繍もお願いして、裾回しも自分で色を選んで染めて貰って、勿論帯も同じことをして、しかもそれが当たり前のことのよう。…今のご時世ほどではないにしろ、いくらかかったものやら;
 金銭が掛かったものばかりではなくて、気に入った布地や古くなった着物を継ぎ接ぎして帯を作ったり。
 でも巻末での樹木希林さんとの対談で「あれは失敗作だったの」「一度も着てない」とか仰ってたりするのを見ると、きものは作るだけでかなりお金が掛かる筈で、それをあっさり箪笥のこやしにしたり人にあげたりできると言うのは、元々が裕福だったんだろうなぁ、と思ってしまいました。
 私はきもの自体には凄く魅力を感じるんですが、で、この頃は古着だのポリエステル地だの結構手ごろな値段で出回ってたりするので、多分数を揃えることも可能なんですが、手入れの煩雑さを考えると「…やめとこう」と思ってしまいますねぇ。お正月くらいは着たらいいんだけど。