読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

筆跡鑑定入門 ニセ遺言書、文書偽造を見破るには 魚住和晃著 文芸新聞社 2013年

◉遺言書をめぐる「一澤帆布事件」
◉脅迫状がカギを握る「狭山事件
 数々の奇跡的逆転判決を導いた筆跡鑑定の真実とは!?
★当事者しか知りえない驚愕の裁判の裏側を公開!
★神谷信行弁護士との特別対談収載

 目下、怪しげな遺言書をめぐって、全国で何件の裁判が争われていることだろう。──筆跡は誰もが有するものだけに、決して他人ごとでは済まされない、身近な薄気味悪さを感ずることになるかもしれない。
 本書は書名が示すとおり、筆跡鑑定の基本的な方法について、具体例を示しながら論じたものである。……筆跡の見かたとはいかなる手順によるべきかがわかり、少なくとも筆跡鑑定に直面する場が生じた際には、それが確かなものであるか否かの読解力と判断力、さらには抵抗力が大いに発揮されることであろう。(「まえがき」より)
                                      (出版社HPの紹介より)


 図書館の開架にあって、何となく目に留まったので借りてみました。
 いやぁ、面白かった。事実が持つ力、というのをしみじみ感じました。一澤帆布事件や狭山事件、芸人さんの中田カウスさんへの脅迫状騒ぎ等、記憶にもある実際の事件を一刀両断する小気味よさ。疑うだけ疑っておいて、実際は違っていたのにその後のフォローが無い、といういい加減さには本当に嫌になりました。少なくとも筆跡鑑定において、科捜研は信じちゃいけないのね。
 実際に鑑定した文書も写真で載っているのですが、「…いや、これはどう見ても違うよ」と思うような文字でも、無理矢理似ている所を探し出してしまう恐ろしさ。
 著者は書家でもあるそうで、芸術的抽象的な、言葉にしにくい部分を論理的に分析していきます。うちの母も30年以上お習字を習っているので、興味あるかしらと本書を見せてみたら、面白そうに頁を捲ってましたね。「『る』の書き方とか違うと思ったけど」などと指摘が具体的で、著者の言う「鑑定という職務には書家が最も近い所にいる」というような主張に、成程と思ったり。でも母曰く、「10年経っても同じ字は書ける」のだそうで。10年前の自分の字を見て、あまりの変わらなさにちょっと落ち込んだ経験があるそうです(苦笑;)。
 好きな字体に似てくる、ってのは私も覚えがあるなぁ。大体、お手本を真似て習字をする、ってこと自体がそういうことだと思いますし。
 読む分には興味深く楽しめましたが、実際鑑定するのが大変なのは自明のこと。ただただ凄い、と感嘆しました。