読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

髑髏城の花嫁 田中芳樹著 東京創元社 2011年

 「ヴィクトリア朝怪奇冒険譚(ヴィクトリアン・ホラー・アドベンチャー)」第二部。
 『月蝕島の魔物』続編。

 クリミア戦争から祖国への帰途、エドモンド・ニーダムと戦友マイケル・ラッドは特命を受け、瀕死の青年をダニューヴ河畔にある髑髏城へと送り届けた。巨大な頭蓋骨を摸した城の外観、陶磁器の人形のように美しい女主人、黒装束に身を包む召使たちの姿は、奇異な印象を二人に与えた。
 そして1857年。無事祖国イギリスに戻り、姪のメープルとともに会員制の大手貸本屋で働き、多忙な日々を送るニーダムは、ある日ロンドンで、かつて城に送り届けた青年と再会を果たす。
 別人のように生命力溢れる青年は、第九代フェアファクス伯爵ライオネル・クレアモントと名乗り、ノーサンバーランドにある屋敷での仕事を依頼したいと言う。
 張り切る姪とは反対に、ニーダムは不吉な胸騒ぎを感じていた。不安を煽るように、囚人船の炎上を見物する客を、不気味な怪物達が襲う。水棲の狼にコウモリを連想する翼を持った怪物、フランスで別れたマイケルの姿も見え隠れする。
 奇しくも“髑髏城”と呼ばれる屋敷でふたりを待ち受けていたのは、想像を絶する奇怪な出来事だった。…
                                        (表紙折り返しの紹介文に付け足ししました)

 
 ちょっと間が空いた第二部。あとがきによると、どうも田中さん体調を崩されていたようで。…アルスラーンの最終巻は!?とか思っちゃ駄目なんだろうなぁ(苦笑;)。
 歴史の蘊蓄は相変わらず、第四回十字軍の顛末も初めて知りました。…十字軍、しょうがないねぇ。
 前作のディケンズに加えてサッカレーや『月長石』のウィルキー・コリンズも登場。…でも賑やかし程度ですけど。そうか、ナイチンゲールも同時代の人なんだ。こういう並べ方をされると新鮮ですね。
 ライオネルはどうして髑髏城に、一族郎党だけではなく、沢山のご婦人がたも呼んだのやら。で、そのご婦人がたはどうなったのやら。メープルの悪友ヘンリエッタも、ごめんなさい、登場する必要があったのかしら、とか思ってしまった。
 さて、三部作だそうなので、残り一作。でもアルスラーン戦記のラストや蒼竜伝の続きも気になるんですけど。無理しない程度に、でも書いて下さいね(笑)。