読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

キャットと魔法の卵 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著/田中薫子訳 徳間書店 2009年

 大魔法使いクレストマンシーシリーズ。
 英国での出版は2006年。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 次代クレストマンシーとして城で教育を受けているキャット少年は、ある時、近くの村に住むマリアンと言う少女と知り合った。マリアンの一族・ピンホー家は代々続く魔女の家系で、一族の長であるマリアンの祖母は最近、近隣の別の一族・ファーリー家やクリーヴ家と対立しているらしい。ただ共通していたのは、彼らがクレストマンシーを煙たく思っていたこと。何故なら魔法を後ろめたいことに使っていたから。
 訳の分からない言葉を叫び呪文を振りまくばば様を、ピンホー一族は持て余す。とりあえず〈森の館〉からベッドごと運び出し、ばば様の七人の息子やその奥さんが交替で面倒を見ることにした。介護資金にと売りに出した〈森の館〉を買いたいと言って来たのは、ジェーソン・イェルダム。幼い頃はクレストマンシー城でブーツ磨きをしていた彼は、今では様々な世界を飛び回り、珍しい植物を採集している。今回は結婚相手アイリーンまで見つけての帰城で、〈森の館〉を新居にするつもりだった。
 新婚二人と一緒に〈緑の館〉を下見したキャットは、屋根裏に長年置かれていた卵を見つける。マリアンから譲ってもらって苦労して孵したら、現れたのはなんとグリフィンだった。
 一方、クレストマンシーは近隣の村の人々の魔法に興味を持ち調べようとするが、城に帰れなくなってしまう。キャットは森へ迎えに行き、その途中でユニコーンを連れた“じじ様”に会う。
 その頃マリアンは、ばば様の引き起こした魔女同士の魔法を駆使した争いに巻き込まれていた。ばば様の方が悪いのに、一族のみんなはばば様に惑わされてマリアンの言うことを信じてくれない。思い余ったマリアンは、クレストマンシー城へ向かう。城にブーツ磨き係として奉公している兄・ジョーと会うつもりだったが、結局キャットに相談することに。いい知恵が浮かばないまま、翌日、キャットは待ち合わせ場所の〈森の館〉を目指す。彼の前に現れたのは猟場管理人のファーリー氏。どうやら森に〈まどわしの呪文〉をかけて、クレストマンシーを迷子にしたのは彼の仕業だったらしい。今回もキャットの行く手をさえぎる。
 ファーリー氏は丁度飛んできた空飛ぶ機械を猟銃で撃ち落とし、さらにキャットの連れ、グリフィンに銃口を向ける。キャットはファーリー氏を止めるべく魔法を使う。ファーリー氏が森の中に隠していたものは何だったのか。それを解放するために、キャットとマリアンは力を合わせる。…

 翻訳ものは読むのに時間がかかるんですよね~。今回も結構かかったなぁ。
 クレストマンシーシリーズはそこそこ読んでる筈なんですが、色々忘れてましたね; さすがにキャットは覚えてたけど、クレストマンシーの奥さんミリ―とか覚えてなかったなぁ(こらこら;)。
 今回気が付きました。ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品って、クライマックスがいまいち分からないんだわ。翻訳のせいなのかイギリス児童文学の特徴なのか、エピソードがつらつらと並べられて行って、何時の間にやら終息に向かっている。残りのページ数であと少しで終わり、ってことはわかるんだけど、何だかずっと伏線を読んでる感じ。「あれ、終わるんだよね、終わるんだよね??」と思いながら結構最後の方まで読んでました。
 魔法の使い方の説明とか相変わらず独特で面白くて好き。森に入らせないための魔法の表現を「柵がある」とか、洗濯ロープを魔法でくっつけて引っ張る、とか。
 表紙もいいですね、佐竹美保さんのこういう洋物の絵、凄く好きです。空飛ぶ機械にこっそりクレストマンシーも乗ってるのね(笑)。ちゃんと本文を読んでないと描けない絵ですよね、愛情籠ってるなぁ。