読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

トンボソのおひめさま――フランス系カナダ人のたのしいお話――  マリュース・バーボー マイケル・ホーンヤンスキー文 石井桃子訳  岩波書店  1963年

 フランス系カナダ人の人々が語り継いできた民話5編。

 王さまの庭になる銀いろのちえのリンゴを取って行く金の不死鳥を追う三番目の王子ジャン。ガラスの山を越えておとし戸をくぐりぬけてサルタンの国へ。サルタンとの三度のかくれんぼに勝って、美しい姫と金の不死鳥を連れて国へ帰って来る『金の不死鳥』。

 王さまが三人の王子に残したものは、口を開くたび金貨が百枚飛び出してくる布の財布、吹けば一万人の兵が出て来る銀のラッパ、思うだけで何処にでも行ける皮のベルト。皮のベルトを受け継いだ三番目の王子ジャックは、美しいと評判のトンボソのおひめさまへ会いに行きます。ひめに三度騙され、魔法の宝物を三つとも盗られたジャック王子は、偶然見つけた鼻の長くなるリンゴと、元に戻るスモモで、ひめから宝物を取り戻します。…『トンボソのおひめさま』

 となりどうしの国にうまれた王子と王女。二人に幸せな結婚話が持ちあがった時、いじわるな妖精エグルコーンは王子をキツネの姿に変え、王女を誘拐して森の奥深くの小屋に閉じ込めます。王女の元を訪れる王子。でも王女はその正体に気がつきません。王子はよい妖精のスヴェルタから貰った指輪を、王女に贈ります。その結婚の申し込みを受けた時、王子の魔法が解けました。…『いじわる妖精』

 妻を亡くした父親にいじめられたジャンは家出して、森の中のお城に辿り着きました。そこに住んでいるおばあさんに下働きとして雇われて、二頭の馬の世話を言いつかります。おばあさんには黒い馬は大切に、白い馬はぶつように言われましたが、いざ世話してみると白い馬はジャンに話しかけてくるほど賢い馬です。ジャンは白い馬にいい食べ物をやり、黒い馬にはわらと水しかやらないことにしました。おばあさんの留守中に、入ってはいけないと言われた部屋に入ったジャンは、部屋の地下に湧いていた水に髪が浸かってしましました。ジャンの金色に変わってしまった頭を見て、白い馬はジャンに、自分に乗って逃げ出すようアドバイスします。羊の皮でかつらを作って、くしとびんを持って。おばあさんに追われながら、ジャンは手綱を投げ、くしを投げ、びんを投げて何とか逃げ切ります。そして見えて来たお城で、お庭がかりとして働き始めるのです。…『フケアタマ』

 ジャンのつかえる国に、となりの国が戦争をしかけてきました。ジャンは白い馬の助言に従って、武術の練習をし、上司のお庭がかりの眼を盗んで王さまの軍隊に加わります。一度目は白いよろいかぶとで、二度目は真っ赤なよろいかぶとで、三度目は黒いよろいかぶとで。見知らぬ騎士の正体を知りたい王さまは、何とか彼を留めようと彼に槍を投げました。槍はジャンの腿に刺さり、穂先が折れます。ジャンの正体に気付いていた三番目のおひめさまは、ジャンにその穂先を持って王さまを訪ねるよう言い、白い馬もそれに賛成します。…『金髪の騎士』

 元々童話や昔話の類は好きです。恩田陸さんのエッセイで紹介されているのを見て、読みたくなって手に取りました。
 いやぁ、王道だなぁ。主人公は大概三番目の王子か王女だし、危険な目にあうにしろチャンスにしろ三回ずつだし。こう言うのは洋の東西を問わないですよね、結構非道で残酷な所も定石通り。
 いじわるな妖精エグルコーンが乗っていたという翼のある四匹の猫が引いた車、ってのは北欧神話も入ってるのかなぁ。でもよい妖精のスヴェルタの車は銀いろのトンボが馬代わりなんですよね。
 久しぶりに読んで、改めて好きだなぁ、と思い知ってしまいました。このシリーズちょっと続けて読もうかな。