読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ハリー・ポッターと死の秘宝 上下巻  J.K.ローリング作/松岡佑子訳  静山社  2008年

 ハリー・ポッターシリーズ最終巻。
 ネタばれになってるなぁ、すみません;

 始まりはやはりダーズリー家から。母親リリーの保護魔法が解ける17歳の誕生日より前に、ハリーはダーズリー家を出ることにする。ポリジュース薬を飲んでハリーに化けた7人の仲間を囮に空に飛び立つハリーたち。だが、その情報を手に入れていたヴォルデモートの死喰い人たちに襲われ、マンダンガス・フレッチャーは行方不明、マッドアイ・ムーディは帰らぬ人となった。
 そのままロンの家に迎え入れられるハリー。ロンとハーマイオニーと、分霊箱を探す旅に出る相談をしたいが、ロンの母親に阻止されてばかり。誕生日、ダンブルドアからの遺産――ロンには灯消しライター、ハーマイオニーには童話“吟遊詩人ビードルの物語”の本、ハリーには初めて手に取ったスニッチとゴドリック・グリフィンドールの剣――を受け取った次の日、ウィーズリー家のビルとフラーとの結婚式の当日、出席者のミュリエルおばから、ハリーはダンブルドアの秘められた過去を聞く。スクイブの妹を病気と偽って家に閉じ込めていたこと、闇の魔法使い・グリンデルバルトと親交を深め、マグルを魔法使いが支配する世界を夢見ていたこと。噂に過ぎない数々を聞いて、しかしハリーは心穏やかではいられない。残る分霊箱の手がかりが掴めない焦りもあって、ダンブルドアへの不信感が募って行く。
 結婚式に乗り込んできた死喰い人から逃れて、シリウスの家グリーモールド・プレイスへ隠れる三人。シリウスの弟・レギュラスのミドルネームをを知り、ロケットをすり替えたR・A・Bがレギュラスだったことに思い当たる。
 屋敷しもべ妖精クリーチャーが全てを知っていた。ロケットはマンダンガス・フレッチャーが持ち出して売り払っていた。漸く探し出したマンダンガスは、ロケットはアンブリッジに渡してしまったと言う。三人はポリジュース薬を飲んで魔法省に忍び込み、分霊箱のロケットを手に入れる。だが隠れ家グリモールド・プレイスは見つかってしまった。
 あちこちを転々として野宿を繰り返す生活が始まった。ロケットを壊す手立ても見つからないまま、あてのない毎日に業を煮やし、ロンはとうとう二人と別れてしまう。
 どこかに手掛かりはないのか。ハリーはハーマイオニーの反対を押し切って、自分の生まれ故郷であり、ダンブルドアの家もあったゴドリックの谷を訪ねる。ダンブルドアの古馴染みでハリーの両親とも親交があった魔法史家バチルダ・バグショットと出会う二人。だがバチルダは既にヴォルデモートの手に落ちていた。逃げる途中、ハーマイオニーの魔法でハリーの杖は折れてしまう。
 落ち込むハリーの前に、銀の牝鹿が現れる。誰かの守護霊である牝鹿はハリーを、グリフィンドールの剣と、ロンの元に導く。分霊箱の一つ、ロケットはロンの手によって漸く壊された。
 ロンは多くの情報も得て帰って来た。ハリーを密かに支持する騎士団のメンバーの状況、情報を提供するラジオ放送。“吟遊詩人ビードルの物語”を手掛かりに、伝説の死の秘宝『ニワトコの杖』『蘇りの意石』『透明マント』の存在を確信したハリーは、杖を失ったヴォルデモートも、最強の杖『ニワトコの杖』を探していることに気付く。その在りかが分かった時、ヴォルデモートもその場所に辿りついていた。そしてハリーは、ヴォルデモートが『ニワトコの杖』を手に入れることを許してしまう。ハリー達は不用意な一言から死喰い人たちに見つかり、マルフォイの館に連れて行かれる。
 彼らの危機を救ったのはドビーだった。捕らわれていた杖作りのオリバンダーやゴブリンのグリップフックもあわせて助け出したものの、ドビー自身は犠牲となる。
 逃げ込んだビルとフラーの新居で、グリップフリックを説得して、ハリーたちはグリンゴッツ銀行の金庫に向かう。ハリーたちの持っているグリフィンドールの剣を見た時のレストレンジの狼狽ぶりから、保管場所の金庫に、他に大切なもの――おそらく分霊箱がある、と察しがついたから。果たして、ハッフルパフのカップを手に入れたが、その行為によりヴォルデモートは、ハリーたちが分霊箱を探していることに気付く。ヴォルデモートの感情は不思議な繋がりを持つハリーの頭に流れ込み、ハリーは分霊箱の一つがホグワーツにあることを知る。
 三人はホグズミードから懐かしいホグワーツに入った。ネビルやルーナ、ジニーとも再会、続々と不死鳥の騎士団のメンバーも集まって来る。ヴォルデモート達との最終決戦の中、ハリーたちは分霊箱を探す。ドラコ・マルフォイ達に妨害を受けながら、分霊箱を壊す三人。その頃ヴォルデモートは、思い通りに動かないニワトコの杖の所有者となるために、スネイプと相対していた。
 スネイプの記憶を垣間見たハリーは、スネイプの真意、ダンブルドアの意図を知る。ハリーはたった一人、ヴォルデモートの元に向かう。…

 最終巻発売以降、私はあまり評判を聞かなかったんですが。…ていうか、あまり情報入らないよう、意識的に関連情報から眼を逸らしていたのですが、つまり自然に目に入ってしまうほどの話題にはならなかった訳で。
 いや、これ面白いよ! もっと盛り上がってよかったでしょう!?
 ハリー・ポッターで泣かされるとは思わなかった。
 確かに、上巻読むのに4日かかった時には「…どうしよう」と思いました。相変わらずハリーは同じとこぐるぐる回ってて、学習能力ないのかよ、いい加減成長しない主人公だね、とかなかなか読書速度が上がらない。ロンも嫌な面ばかりが目について、ハーマイオニー、ロンのどこがいいのやら。
 でも下巻は怒涛の追い上げでしたね。ハリー自身と言うより、脇役たちの活躍っぷり。ネビルはいいとこ持って行くし、ダンブルドアは鬼畜っぽいし(ダンブルドアの過去に妄想を刺激された腐女子の皆さん、たくさんいただろうなぁ・笑)、誰よりスネイプ! スネイプが実はいい人、ってのはもう誰もが察しがついちゃうことなんですけどね、でもあの報われない献身っぷりにはやられてしまいましたよ。Mっちゃん今までごめんね、スネイプファンのMっちゃんに冷淡な態度取ってて。だってこれまではスネイプに惹きはなかったんだもの、だけど今回はぐっときてしまったわ。ただ、あのスネイプの姿はMっちゃんの思う萌えとは違うかもしれないね(笑)。
 ハリーの長男のフルネームはジェームズ・シリウス・ポッターかな、リーマスの名は子供が受け継いだものね。スネイプは肖像画にはならなかったのかな。
 伏線もあっちこっちから拾ってあって、まるで記憶にないものも多々ありました(苦笑;)。こりゃ1巻から読み返さなきゃ駄目ですね。
 翻訳家さんのあの後書きはちょっとどうかな、感動したのはわかるけど、読者が体験するものをあんなに先に熱く語られると、こっちは却って退いてしまうような…。でも「僕を見てくれ」の台詞がが緑の目に対して言われていたものだ、とは後書き読むまで気が付きませんでした。記憶を見てくれ、って意味かと思ってた。…確かに、そうなるともっと切ない。
 予約本が一気に来ていてすぐに次の本に移らなきゃいけない状態なのに、今日一日心をふわふわハリポタに遊ばせていました。…面白かったなぁ。見事な最終巻でした。