読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

革命のライオン 小説フランス革命Ⅰ  佐藤賢一著  集英社  2008年

 構想20年。西洋歴史小説の第一人者が満を持して放つフランス革命のすべて
 1789年。時は来た。正義の嵐を求めて、いざ闘わん。(帯文より)    …なんだそうで。

 1788年、フランス王ルイ16世は深刻な財政難の中、再び敏腕投資家ジャック・ネッケルを財務長官に任命した。度重なる凶作で国中が飢えているにもかかわらず、貴族や教会などは特権に胡坐をかいている状態。少しでも財産を吐きださせようと、170余年ぶりに全国三部会の召集を決定する。
 第一身分聖職者、第二身分貴族、第三身分平民。殊に第三身分は大喜び、国王は平民の声を聞いて下さろうとしているのだ、と各地で選挙が行われ、議員が選出される。プロヴァンス地方の代表はミラボー伯爵。侯爵家に生まれながら父親に疎んじられ、禁治産者として廃嫡され、ならばと第三身分代表として選挙に勝った。マルセイユとエクス、二つの都市の暴動を鎮めた上での当選だった。
 いざヴェルサイユに来てみると、第三身分代表は何かにつけ差別される。国王に平民の声を届けるどころか、まともに議会も開かれない。代表議員はお互いに議論を繰り返すばかり、行動を起こす者はいない。ピカルディ州アルトワ管区代表ロベスピエールは、第一身分聖職者に呼びかけることを提案する。聖職者は貴族出身の富裕層と、平民出身の貧しい司祭・助祭とで意見が二つに分かれていた。この提案にミラボー伯が賛同し、まだまだ青二才のロベスピエールミラボーと言う師を得る。
 球戯場での誓いの後、第一身分の一部を取り込んでようやく開かれた三部会で、国王は第三身分代表議員の決定をことごとく無視する。王を平民側に取り込み、共に貴族に対抗するつもりだったミラボーの思惑は上手くいかない。国民に人気の平民大臣ネッケルが罷免され、パリの群衆は6時間かけてヴェルサイユまで押し寄せる。再び変動するルイ16世。ネッケルをまた財務長官に任命し、だが群衆に怯えて軍隊を手元に集め始めた。このままでは王と民衆とが対立してしまう。ミラボーロベスピエールはパリへと向かった。…

 フランス革命と言えば池田理代子ベルサイユのばら』、よしながふみジェラールとジャック』。よしながさんの『執事の分際』も舞台背景フランス革命でしたっけ、あれは持ってないのでうろ覚えなんですが; 
 とにかく元々の基礎知識がないので、色々と新鮮でした。
 ミラボー伯爵なんて知らなかったし、ロベスピエールが貧弱な小男だった、ってのも意外。フランス革命ってアメリカ独立戦争より後だったのね~(←こらこら;)。
 フランス国王が結構ぎりぎりまで国民に支持されていた、って言うのも「へぇ~」。そうか、そう言えば『ベルばら』でも、ロベスピエールの演説でルイ16世の処刑が決まったとか言う場面があったっけ。
 ミラボー伯は体調を崩しています。ロベスピエールに劣等感を持つ後輩デムーランはちらっと出て来ただけ、恋人リュシルとの結婚を認めて貰うため、気弱なくせに一旗揚げたくてうずうずしてます。
 語るぜ語るぜ俺は語るぜな文体は相変わらず。フランス革命のどこまで語られるんでしょう、ナポレオンとかまで行くのかな。この先楽しみです。