読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

フイヤン派の野望 小説フランス革命Ⅵ  佐藤賢一著  集英社  2010年

 小説フランス革命第六弾。

 ヴァレンヌ事件後、革命は停滞、内乱の危機へ。
 ロベスピエールの懊悩と決意
 何も恐れず、何も迷わず。
 今こそ、新しいフランスを拓くために。                   
                                         (帯文より)

 王一家の逃亡未遂「ヴァレンヌ事件」以降、王を処罰しようというジャコバン派と、擁護するフイヤン派に議会は別れた。議員は元々富裕層出身者が多く、既得権益を確保するため保守に傾く。一般市民はジャコバン派を支持、その声を集めようと署名運動に励んだ1791年7月17日の夕暮れ、国民衛兵隊が市民に銃を向けた。
 シャン・ドゥ・マルスの虐殺と呼ばれるこの事件を切っ掛けに、ダントンはイギリスに逃亡、マラは地下に潜り、モモロは逮捕される。ロベスピエールは支持者の一人・指物師のモーリス・デュプレイの家に隠れ、以後この家を下宿として根城にすることとなる。
 ほとぼりが冷めた9月30日、議会は解散した。ロベスピエール始めとする現職議員は失職した。あくまで富裕層と闘ったロベスピエールは市民の支持を受けつつ、一旦故郷アルトワに帰る。そこで見たのはパリと違って、あまりにも低い政治意識と国境付近ならでは、戦争への緊張感だった。
 フランス王は主戦論に傾いていた。議会が運営する国民衛兵隊が負ければ、再び王政復古の声が湧いてくるだろう。今やパリ市長となったジャコバン派のぺティオンも主戦論を唱え、ロベスピエールは失望する。ぺティオンは外国軍もろとも亡命貴族を一掃する気でいたが、ロベスピエールには、今の混乱した指揮系統でフランス軍が戦争に勝てるとは思えなかった。
 孤軍奮闘して反戦論を唱えるロベスピエールの元を、フイヤン派反戦論者バルナーヴが訪ねる。フイヤン派反戦は国を思ってのことではなく保守のための反戦だ、と切り捨てるロベスピエールにバルナーヴは、自分は政界を引退する、故郷・ドーフィネに帰ることにした、と告げる。バルナーヴは留まることない革命に、絶望すら感じていた。…

 負けるために戦争する、ってのは違うよなぁ、それはフランスの王じゃないよ。負けるなら負けるでどうして自分に都合のいい所でおさまってくれると思うのか。領土にしろ賠償金にしろ、散々踏み荒らされるだろうに。
 外国も馬鹿じゃない、益のない戦争なんか仕掛けて来ない、と達観しているバルナーヴが身を引きました。ミラボーに比べて閃きは足りないけれど分析力と構想力はある、と自負する彼は未来を見据えていた様子、この後彼はどうなったんでしょう。全て終わった後、最後に語るのは彼か、デムーランか。
 故郷でロベスピエールサン・ジュストと出会い、パリに連れて来ました。デムーランは虐殺現場に居合わせながらも、ブルジョワの奥さんの伝手で逃げおおせたことを後ろめたく思っています。まだギロチン台は出て来てませんが、7巻から始まる第二部では嫌になるほど出て来るんだろうなぁ。
 続きは一年半後ですね。…それまで内容覚えてられるかなぁ;